すぐやる本を7冊買って分かった、先延ばしと「決められない」の見分け方
棚に並んだすぐやる・習慣の本が7冊。同じ問題に7回お金を払っていました。ただ止まっていたのは先延…

本記事はアフィリエイト広告(Amazonアソシエイト)を含みます。実際に買った本だけを紹介しています。
本棚の同じ段に、似た背表紙が7冊並んでいます。すぐやる、習慣、時間術。買った時期はばらばらなのに、どれもほとんど同じ場所を扱っている本でした。すぐやる本を7冊持っているというより、同じ問題に7回お金を払っていた、というほうが実態に近いと思います。7冊とも、当時の僕が何かに詰まって選びました。ただ、いま並べ直してみると、詰まっていた場所と、この7冊が助けてくれる場所がずれていました。
買った「すぐやる」「習慣」の本、7冊
先に並べておきます。買った順は思い出せないので、棚に入っている並びのままです。
| 書名 | 著者 | 出版社 |
|---|---|---|
| マンガでよくわかる やる気に頼らず「すぐやる人」になる37のコツ | 大平信孝/河村万理 作画 | かんき出版 |
| すぐやる脳 | 菅原道仁 | サンマーク出版 |
| 「すぐやる」よりはかどる! 仕事を「短くやる」習慣 | 山本大平 | クロスメディア・パブリッシング |
| 目標や夢が達成できる 1年・1カ月・1週間・1日の時間術 | 吉武麻子 | かんき出版 |
| 1つの習慣 うまくいく人は、なぜ「これ」を大切にするのか | 横山直宏 | すばる舎 |
| 習慣の力〔新版〕 | チャールズ・デュヒッグ/渡会圭子 訳 | 早川書房 |
| 科学的に証明された すごい習慣大百科 | 堀田秀吾 | SBクリエイティブ |
7冊のうち、通しで読んだものと、途中で閉じたものがあります。読んだ深さがそろっていないので、1冊ずつの中身を紹介したり、順位をつけたりはしません。書きたいのは、同じジャンルを7冊買った側の話です。
なぜ7冊も買ったのか
困りごとは「先延ばし」ではなく、判断に迷って動けないことだった
先延ばしの本も、すぐやる本も、たいてい同じ前提から始まります。やることは決まっている。それなのに手が動かない。だから着手のハードルを下げましょう、という流れです。
僕が止まっていたのは、そこではありませんでした。やることが決まっていない段階で固まっていたんです。どちらを選ぶかを、何日も持ち越していました。先延ばしというより、決めきれないまま日が過ぎることが問題でした。手が動かないのではなく、どこに手を伸ばすかが決まらない状態です。
ただ、当時の自分はその区別ができていませんでした。動けていない事実は同じなので、書店では「動けない人」向けの棚に行ってしまう。7冊が同じジャンルに寄ったのは、症状の名前を取り違えていたからだと思います。
個人事業主だった頃の話
買っていたのは、個人事業主として働いていた時期です。会社に所属していたときと違って、迷ったときに相談する先も、決めてくれる人もいませんでした。全部が自分のところで止まります。
抱えていたのは、細かい業務の判断とは別ものでした。独立したままでいくのか。この仕事を本当に受けるべきなのか。このままで大丈夫なのか。本当にいろいろな種類の選択が、同時に置かれていました。
決まらない日が続くと、決められない自分に問題があるように思えてきます。それで本屋に行って、また1冊増えていました。判断そのものが自分の頭の中だけで完結していた時期の話です。いまは同じ量の判断でも扱い方が変わってきていて、そのあたりはAI疲れの正体は、判断の数だった。作業が減ったぶんだけ増えていた3つの経路で書きました。手を動かす仕事が減った先で何が起きるかに関心があれば、そちらも開いてみてください。
処方箋のジャンルが、症状と合っていなかった
僕が拾って読んでいたのは、タスクへの着手の話だった
あらためて棚の7冊を眺めると、僕が線を引いていた場所はかなり近いところに集まっています。これは7冊を横に並べて読み比べた結論ではなく、当時の僕がどこを拾って読んでいたか、という範囲の話です。取りかかるまでの時間を短くする、最初のひと押しを軽くする、続く形に落とし込む。目に入っていたのは、そういう項目でした。
ジャンルとしては、ちゃんと機能する場所を持っていると思います。やると決まっているのに手が動かない人にとっては、噛み合う道具でしょう。合わなかったのは、僕が持ち込んだ問題でした。
止まっていたのは、そもそも即断すべきでない選択のほうだった
独立を続けるかどうかを、5分で決めてはいけません。受ける仕事を選ぶのも、その場のテンションで押し切っていい種類のものではないと思います。時間がかかっていたこと自体は、たぶん間違っていませんでした。
着手を速くするための本を、僕は7冊買いました。やると決まっている問題のための道具で、やるかどうかがまだ決まっていない問題を叩いていたことになります。工具の使い方が悪いのではなく、持ってきた工具が違いました。
身も蓋もないですが、実際あんまり変わらなかったと思います。大きな選択の前に立つと、また同じところで止まっていました。7冊買っても、本当に詰まっていた場所には当たっていなかった、というのが今の見立てです。
いちばん驚いたのは、悩みの中身を忘れていたこと
今回この記事を書くにあたって、当時なにに迷っていたのかを思い出そうとしました。7冊も買うくらいなので、具体的な場面が出てくるだろうと思っていたんです。
出てきませんでした。独立したままでいくのか、この仕事を受けるべきか、このままで大丈夫なのか。思い出せたのはそこまでで、それ以上は降りてきません。どの依頼だったのか、何日持ち越したのか、最後にどちらを選んだのか。一つも出てきませんでした。7冊ぶん迷ったはずの選択を、いまの僕は一つも名指しできません。
当時は、選択を間違えたら取り返しがつかないと思っていました。それだけの重さがあったはずなのに、数年たつと何ひとつ手元にありません。少なくとも僕の場合は、悩みそのものは記憶に残らなかったのだと思います。
棚には7冊の背表紙が並んだままです。何に困っていたかは消えているのに、困っていた事実だけが物として置いてある。書き残しておけば中身も追えたのかもしれませんが、当時はそこまでしていませんでした。
今から見ると、すごくちっぽけだった
思い出せた分だけ並べ直してみても、いまの僕には大した話に思えません。独立を続けるかどうかも、あの仕事を受けるかどうかも、どちらを選んでも生きていたはずです。当時は動けなくなるほどの大きさだったのに、いまはそこまでの重さではありません。
状況が良くなったから小さく見えている面はあると思います。ただ、それだけでもない気がしています。悩みの大きさより、悩みに対する反応の仕方のほうが変わりました。同じ出来事が来ても、以前ほど心が持っていかれません。
そこが変わったきっかけをくれたのは、すぐやる本の棚から離れた、まったく別の1冊でした。読んだときのことは『反応しない練習』の要約|実践してよかった3つと、生きるのが楽になった読み方にまとめています。いま判断そのものが重く感じているなら、着手を速くする本より、こちらが近道かもしれません。
読んでいる方に渡せるものがあるとすれば、たぶんここです。いま取り返しがつかないと感じている選択も、数年後には、そんなことで悩んでいたなという一言しか残っていない可能性があります。
決められない性質は、いまも残っている
直ったのかというと、直っていません。いまでも即座に決めるのは苦手なままです。7冊読んで生まれ変わった、という話にはなりませんでした。
変わったのは、その性質の置き場所です。頼まれごとを受けるかどうかを、その日のうちに決めないようにしました。前は決断が遅い弱点だと思っていた癖を、いまは考える時間を確保するための手順として使っています。決められない性質は消えていません。困りごとの側から、道具の側へ持ち替えただけです。
置いたあいだに答えが出ていることも多くて、その感覚は『思考の整理学』要約と感想|AIが知識を担う時代に「考えを寝かせる」技術がいま刺さるを読んでから、はっきり言葉にできるようになりました。答えを急いで苦しくなっているときほど、向いている一冊だと思います。
もうひとつ、抱えている判断そのものを人やAIに渡してしまう回し方も併用しています。手順は作業だけ渡すと戻ってくる、判断ごと渡す4ステップに書きました。全部を自分で決めなくていい、と思えたのは大きい変化でした。
それでも、7冊が要らなかったとは思わない
症状の名前を取り違えていたのは僕です。棚に並んだ7冊は、その取り違えの記録として残っています。
そして、外れた買い物をしないと、どこが外れているかは分かりませんでした。すぐやる本を1冊も買わなかったら、たぶんいまでも「自分は先延ばし癖がある人間だ」と思ったままだったはずです。7冊ぶんの出費と引き換えに、自分の詰まりは着手側ではなかったと分かりました。安い買い物ではありませんが、無駄だったとも思っていません。
お金を何に替えると納得できるのかという話は、『DIE WITH ZERO』要約|「ゼロで死ね」に学ぶお金の使い方と、経験に替える人生の順番で書きました。お金の側から先に整理したい方は、そちらから読んでも通じます。
よくある質問
Q. すぐやる本を読めば、先延ばしは直りますか?
A. 僕の場合は変わりませんでした。ただ、僕が困っていたのは着手ではなく判断だったので、本の力を測れた買い方をしていません。やると決まっているのに手が動かない状態で困っているなら、噛み合う可能性はあると思います。
Q. 先延ばしの本は、何冊も読む必要がありますか?
A. 冊数を増やすより先に、自分がどこで止まっているかを言葉にするほうが早いと思います。やると決まっているのに動けないのか、やるかどうかがまだ決まっていないのか。前者ならこのジャンルの棚で探せます。後者だと、僕のように同じ棚を何度も往復することになります。
Q. 判断に迷って動けないときは、何を読めばいいですか?
A. 正解を持っているわけではありません。当時の僕に必要だったのは、たぶん決め方を教える本より、決まらない自分にいちいち反応しない練習でした。急ぐべきでない選択の前で時間がかかるのは、おかしなことではないと思います。
まとめ
7冊のうちのどれかが僕を変えた、という実感はありません。当時あれだけ悩んだ判断も、いま思い出そうとしても、ぼんやりした一言しか出てきません。その程度の重さだった、ということでもあります。
すぐやる本をレジに持っていく前に、確かめておくといいことがあります。いま止まっているのは、やると決まっているのに手が動かないほうでしょうか。それとも、やるかどうかがまだ決まっていないほうでしょうか。前者ならこのジャンルは噛み合います。後者だと、僕のように同じ棚から7冊持ち帰ることになります。


