SuggescoMagazine 第 75 号 P.01
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服の断捨離は基準を2つ決めると進む。90ℓ手放して分かった、捨てる服の見分け方

何年も着ていない服を、二回に分けて90ℓぶん手放しました。手が止まるのは気合いの問題ではなく、手…

クローゼットを開けると、何年も袖を通していない服が並んでいます。減らしたほうがいいのは分かっているのに、一着ずつ手に取ると、どれも捨てる決断がつきません。僕も長いあいだ同じ状態でした。先日ようやく手をつけて、二回に分けて90ℓぶんの服を手放しました。服の断捨離でつまずくのは、たぶん気合いが足りないからではなく、手に取る前に基準を決めていないからだと思います。実際に何を基準に選んで、どこで手が止まって、捨てたあとに何が変わったのかを、そのまま書いてみます。

目次

服の断捨離で90ℓを手放すまで

手放したのは二回に分けてです。一回目は出張に出る前、二回目はその後の日曜。どちらも45ℓの袋に一杯ぶんくらいで、合わせて90ℓになりました。持っていった先は、ユニクロの店頭にあるリサイクルボックスです。買い物のついでに寄れる場所だったので、袋に詰めてから家を出るまでのあいだに気持ちが変わることもありませんでした。

一日で家じゅうを片づけたわけではありません。二回とも、作業そのものは休日の午前中くらいで終わっています。しかも、まだ手放してよさそうな服はクローゼットに残っています。少しずつやっていくつもりです。断捨離というとクローゼットを一気に空にする光景を思い浮かべますが、僕がやったのは、二回に分けた小さい作業の積み重ねでした。

服を捨てられない理由

服が減らないのは、捨てる決断を一着ずつやっているからだと思います。手に取ると、買ったときの値段、まだ着られるという事実、いつか着るかもしれない場面、もらったときの記憶が、いっぺんに出てきます。一着ごとにそれを全部くぐり抜けないと袋に入らないので、クローゼットの端まで行き着く前に、選ぶ側の気力が尽きます。そして、手に持っていた服をたたんで棚に戻して終わります。

やっかいなのは「高かったから、もったいない」です。払ったお金はもう戻ってこないのに、捨てるかどうかを決める場面でだけ顔を出してきます。服にかぎった話でもなくて、使わなくなった道具でも、惰性で続けている習慣でも、同じところで手が止まります。ほどき方は執着を手放す方法のほうに書きました。よければのぞいてみてください。

もう一つは「いつか着るかもしれない」です。いつか、が具体的な予定になっている服はほとんどありませんでした。結婚式、法事、寒波の日。場面を言葉にできる服だけを残しました。言葉にできない服は、いつかが来ないまま次の衣替えを迎えます。

服を捨てる基準は2つ

今回使った基準は2つです。1つ目は、もう何年も着ていないもの。2つ目は、代わりになる服があるのに、同じ役目のまま何枚も持っているもの。一着ずつ悩むのをやめて、この2つに当てはまるかどうかだけを見ていったら、手が止まらなくなりました

よく見かける「1年着ていない服は手放す」という線引きは、判断が速くなるので分かりやすいと思います。僕が今回袋に入れた服は、1年どころか何年も袖を通していないものでした。年数を数えるまでもなく、最後に着た場面が思い出せない時点でだいたい答えが出ています。サイズが合わない、生地が傷んでいる、着てみると気分が下がる。こうした服も、鏡の前に立った時点で自分ではもう分かっていると思います。

2つ目の「代わりがあるのに複数ある」は、下着と靴下でいちばんはっきり出ました。同じような靴下が引き出しに何足もあって、実際に履くのは手前に置いてある数枚だけ。奥のほうは、洗濯が追いつかなかったときの控えとして眠っています。控えが控えを呼んで、引き出しが埋まっていました。

部屋着への「昇格」という溜まり方

いちばん溜まっていたのは部屋着でした。仕組みが分かってみると、増えるのが当たり前だったと思います。外で着ていたTシャツが、汚れたり首まわりが伸びたりして、外では着づらくなります。捨てるほどではないので部屋着に回します。僕はこれを勝手に「昇格」と呼んでいます。

外用の服は減れば買い替えるので、常に一定の枚数を保ちます。ところが部屋着のほうは、上から補充されるだけで出ていく口がありません。手放すきっかけも訪れにくくて、外用の服なら「似合わなくなった」で線が引けるところを、部屋着は家の中でしか着ないので、多少くたびれても不都合が起きないままになります。買った覚えがないのに増えている服があるとしたら、たぶん昇格してきた部屋着です。一日に着るのは一着なので、洗濯の周期を考えても、引き出しの奥半分は出番が回ってこないままでした。

今回いちばん量が出たのも部屋着です。着心地のいいものを何枚か残して、あとは袋に入れました。ただあるだけの服が減ると、引き出しを開けたときに底が見えるようになって、洗濯物を戻すのも楽になりました。

枚数で決めない、という決め方

減らし始めると、何枚まで減らせばいいのかという目安が欲しくなります。ミニマリストの服の枚数を調べると、トップス何枚、ボトム何枚といった数字が並んでいます。参考にはなるのですが、枚数を先に決めると、本当に必要な服を削って、要らない服を残すことになりかねません。数字に合わせるための作業になってしまうからです。

残す側を見きわめるほうが早いと感じました。いま気持ちよく着られるか、手持ちの他の服と合わせられるか、着て出かけて気分がいいか。数を決めるより、そのあたりを見たほうがあとで困りません。単体では好きなのに何とも合わない服は、放っておいても着る回数がゼロに近づいていきます。

ちなみに僕は、残った服の枚数を数えていません。数えなくても、朝にクローゼットの前で迷う時間が減っていれば、それでいいのだと思っています。

年数で切らないほうがいい服

逆のことを言うようですが、着ていない年数だけで切ると危ない洋服もあります。冠婚葬祭の礼服、きちんとしたスーツ、真冬用のアウター。どれも年に数回しか出番がないので、年数で判断すると真っ先に候補に挙がってしまいます。

ところが必要になる日は、たいてい急にやってきます。買い直すとなれば値段も張りますし、その週末までに間に合うとはかぎりません。使う頻度が低いことと、無くていいことは別物です。出番が読めないうえに買い直すと高くつく服は、年数の基準からいったん外して別枠で考えたほうが安全だと思います。処分するかどうかは、それから決めても遅くありません。

思い出の服の扱い

思い出のある服をどうするかは、今回の作業でいちばん手が止まったところでした。捨てるほうが正しい、とも思っていません。手放した量を競う話ではないので、残したいものが残っているクローゼットのほうが、たぶん暮らしやすいはずです。

ただ今回の僕は、いったん減らしてみようというフェーズだったので、思い出の品も思い切って手放す側に回しました。一生の基準として決めたわけではありません。フェーズで決める、くらいの感覚です。次に同じ作業をするときは、また違う結論になるかもしれませんし、それでいいと思っています。写真に撮ってから袋に入れれば、記憶のほうは残ります。

手が止まらない進め方

手が止まるのは、クローゼット全体を一度に見ようとするときです。目の前の量が多すぎると、どこから手をつけるかを決める段階で疲れます。引き出し一段、ハンガー一列、といった単位に区切って、その中身を全部出します。並べてみると、同じ役目の服が横に揃うので、どれが余っているのかが目で分かります。残すと決めた服だけを収納に戻し、袋に入れたぶんは玄関まで運びます。運ぶところまで済ませて一区画が終わりです。

始めるなら下着や靴下からが楽でした。思い入れが薄いぶん判断が速いので、最初の一区画が短時間で終わります。引き出しが一段軽くなると、隣の一段も開けたくなりました。時期としては、衣替えや季節の変わり目にどのみち全部出すことになるので、そこへ重ねると余分な手間が減ります。シーズンが終わってしまう前に一度着てみて、出番が来なかった服を見るのも判断の材料になります。

捨てる前に、手持ちを「自然で必要なもの」と「そうでないもの」に分けてしまう。入口の考え方のほうはミニマリストの始め方に書いてあります。あちらが総論で、いま読んでいただいているのが、その総論を自分のクローゼットに当てはめた実録です。分ける段階でつまずいている方は、先にのぞいてみてください。

手放し方の選び方

服の手放し先は、売る、人に譲る、寄付する、自治体のゴミに出す、店頭の回収に持ち込む、あたりに分かれます。僕は店頭の回収を選んで、ユニクロのリサイクルボックスへ持っていきました。決め手は、袋のまま持ち込めることです。

値段のつく服なら、売ったほうがお金は戻ってきます。ただ、撮影して、説明を書いて、値付けして、梱包して、発送する。一着あたりにかかる手間を思い浮かべた時点で、僕の場合は袋の口を縛るほうへ手が動きました。数着のブランド物なら売る価値はありそうですが、下着や部屋着を含む90ℓを全部その手順に乗せるのは、たぶん現実的ではありません。

捨てられないのではなく、捨てる手段がない

服とは別に、手が止まったままのものもあります。CHAOKEのフィットネスバイクと、Kokoronaのパーテーション。どちらもフリマアプリで売ろうにも配送料のほうが高くつきそうな代物で、そもそもどうやって送ればいいのかが分かりません。捨てられない理由は気持ちの問題だけではなく、手段が見つからないという単純な詰まり方もあります。大物は、手放す方法を先に調べてから決めたほうがよさそうです。

捨てて後悔しないための保険

後悔が怖いときは、判断を一段遅らせる保険を挟むと楽になります。服の場合は、決めきれないものだけを袋にまとめて日付を書き、押し入れの奥に置いておく方法があります。着たくなったら取り出せばいいので、捨てるかどうかの決断そのものを先送りできます。季節が一巡しても取り出さなかったのなら、無くても回っていた服だったということです。

試着はけっこう強い判断材料になりました。ハンガーにかかっている状態だと、どれもまだ着られそうに見えます。実際に袖を通すと、肩の落ち方や首まわりの伸びが体で分かるので、迷いが短くなりました。

迷った一着への問い

どうしても決まらない服には、「いま同じ金額を出して、もう一度これを買うだろうか」と聞いてみると答えが出やすいです。買わないと思ったものは、すでに自分の中では役目が終わっているのだと思います。

服の断捨離で変わったこと

捨てたあと、クローゼットがめちゃくちゃスッキリして、心なしか気持ちもスッキリしました。服の断捨離の効果としてよく語られるのは、朝に服を選ぶ時間が短くなる、収納にスペースができる、無駄な買い物が減る、あたりです。並んでいる服が減れば選択肢も減るので、迷いが短くなるのは実感としてあります。

ただ、僕にとって大きかったのは別のところでした。ものが少なくなると、今あるものを大切に使おうという気持ちが出てきて、ほっこりします。残った服は自分で選んで残した服なので、扱いが少していねいになりました。減らす前は、一枚くたびれても代わりが引き出しに入っていたので、そもそも気に留めていなかったのだと思います。大切に使うという感覚は、数が多いうちは持ちようがありませんでした。

また増やさないための買い方

減らしても、入ってくる量が変わらなければ元に戻ります。買う前に、同じ役目の服が家にあるかどうかを一度思い出すだけでも、だいぶ違います。今回でいえば、靴下と部屋着は買わなくていい在庫が十分にありました。

一着買ったら一着手放す、という運用もよく紹介されています。僕はまだ続けてはいません。代わりにいま作ろうとしているのが、自分の持ち物を書き出したアイテムリストです。あるミニマリストの方の影響で始めたもので、手持ちが一覧で見えていれば、店先で迷ったときに確かめられます。作りかけのものは使っているもののページに置いています。

買い物そのものの手数を増やす方向もあります。決済までが速いほど、迷う前に買ってしまうので、あえて一手間を挟むと軽率な出費が減りました。スマートフォンの側から手数を増やした話はお金を使わない生活で詳しく触れています。買い方から見直したい方は読んでみてください。

断捨離とミニマリストの違い

断捨離とミニマリストは、よく同じ文脈で語られますが、全部を捨てないといけないという話ではありません。床が見えるほど何もない部屋を目指す必要もないでしょう。僕がやったのは、要らない側に置いた服を手放しただけで、残したい服はそのまま残っています。

僕自身、過剰なミニマリストになるつもりはありません。むやみに増やさず、少しずつ減らしていって、自分が居心地よく感じるあたりで手を止めるつもりです。どこで止めるかは人によって違うので、枚数でも部屋の見た目でもなく、朝に着替えるときに困らないかどうかで決めるのがいいと思っています。

よくある質問

Q. 服の断捨離でやってはいけないことは?
A. 勢いで全部出して、時間切れで戻す進め方は避けたほうがよさそうです。出した服が床に散らばったまま夜になると、そのまま押し込んで終わります。一区画ずつ区切って、その日のうちに終わる量にしておくと安全です。家族の服を本人に断りなく手放すのも、後々ややこしくなります。

Q. 断捨離した服は何ゴミに出せばいいですか?
A. 分別のルールは自治体によって違うので、お住まいの案内を確認してください。可燃ごみとして出せる地域もあれば、古布や資源として別に回収している地域もあります。僕は店頭の回収に持ち込んだので、分別そのものをしていません。持ち込み先によって、洗濯済みであることなどの条件が決められている場合があります。

Q. 服を断捨離すると運気が上がるというのは本当ですか?
A. 運気という言い方をするかどうかは別として、部屋が片づくと気分が変わるのはたしかだと思います。僕もクローゼットを開けたときの気持ちがだいぶ軽くなりました。ただ、それは運というより、迷う回数が減って、目に入る雑多なものが減った結果ではないかと考えています。

Q. 捨ててから後悔したらどうすればいいですか?
A. 本当に必要だったと分かったなら、買い直せばいいと思います。困る場面が実際に来たということは、その服が自分の生活に要るという情報が手に入ったわけで、次からの判断は正確になります。服は家具や家電と比べれば買い直しやすいほうですし、それでも出費が気になるなら、値の張るものだけ先に残す側へ寄せておくと気が楽になります。

まとめ

二回に分けて90ℓぶんの服を手放してみて、いちばん腑に落ちたのは、服の断捨離は精神論ではなく、手に取る前に基準を決めておくかどうかで進み方が変わる、という一点でした。僕の場合は、何年も着ていないものと、代わりがあるのに何枚もあるもの。基準を2つ持っておくだけで、下着も靴下も部屋着も片がつきました。

思い出の服を残す判断も、枚数を決めて管理する進め方も、その人の暮らしに合っていれば良いのだと思います。僕のクローゼットにも手放してよさそうな服はまだ残っているので、少しずつ続けていくつもりです。始めるなら下着か靴下の引き出し一段が、いちばん短い時間で終わります。手放して残ったのは、空いた収納そのものより、一枚ずつを大事に着ようという気持ちのほうでした。

Ryuichi
Writer / 運営者 Ryuichi

金沢を拠点に、AI活用とこれからの暮らし方を実際に試して記録しています。

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