ミニマリストの始め方は「捨てる」ではなかった。持たない暮らしが続く3つの分け方
ミニマリストの始め方でつまずくのは、捨てることから入るから。古代ギリシャの哲学者エピクロスの「欲…

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部屋のモノを一気に捨てれば、きっとすっきりする。ミニマリストの始め方は、そういうものだと思っていた頃の僕は、勢いで捨てては、また買い足していました。持たない暮らしがうまく続かなかったのは、たぶん入口を間違えていたからです。捨てることから始めるのではなく、手元のものを「自然で必要なもの」と「そうでないもの」に分けてみる。順番を変えただけで、暮らしがずいぶん楽になりました。今日は、僕がやってみて楽になった持たない暮らしの入口を、正直に書いてみます。
ミニマリストの始め方は「捨てる」からじゃなかった
ミニマリストと聞くと、床が見えるほど何もない部屋を思い浮かべる人が多いでしょう。僕も最初はそのイメージで、休日に一気にゴミ袋を膨らませました。たしかにその日は気持ちがよかったのですが、しばらくすると、また似たようなものが増えていきます。捨てる、買う、また捨てる。減らしているつもりで、ぐるぐる同じ場所を回っていました。
やり方を変えたのは、捨てる作業そのものが目的になっていた、と気づいてからです。何を残すかを先に決めていないから、手放しても穴が空いたように感じて、また埋めたくなる。持たない暮らしの入口は、モノを減らす前に、自分にとって本当に要るものを見きわめることのほうにありました。
持たない暮らしの入口は、欲しいものを3つに分けること
順番を変えるヒントになったのが、古代ギリシャの哲学者エピクロスの考え方でした。エピクロスは人間の欲望を、大きく3つに分けています。ひとつは、生きるために自然で必要なもの。食べること、眠ること、雨風をしのぐこと。ふたつめは、自然ではあるけれど必ずしも要らないもの。豪華な食事や、もっと広い部屋。みっつめは、自然でも必要でもないもの。他人からよく見られたい、という見栄の類です。
エピクロスの分け方を自分の持ち物に当ててみると、景色が変わりました。捨てる・捨てないで悩む前に、そもそも「これは自然で必要なものか」を先に問う。すると、要る・要らないの線が自分の中にすっと引けます。無理に減らすのではなく、要らない側に置いたものが、自然と手から離れていく感覚に近い。
「無いと生きていけない?」ではなく「無くても、僕の一日は満たされる?」で問うと分けやすいです。多くのものは、無くても案外だいじょうぶでした。
手放すと、注意と時間が戻ってくる
持ち物を分けて要らない側を手放していくと、部屋が広くなること以上に、地味な変化がありました。探し物が減って、選ぶ回数が減ります。朝、どの服を着るかで迷わない。机の上に何もないから、作業にすっと入れる。モノが少ないと、そのぶん自分の注意を取られる先が減るのだと、暮らしてみて分かりました。
持っているだけで、僕たちはそのものに少しずつ意識を割いています。管理する、しまう場所を考える、いつか使うかもと気にかける。手放すと、そこに預けていた注意と時間が、静かに戻ってきます。より少なく、しかしより良く。エッセンシャル思考の言葉が、モノの面でも当てはまっていました。
最初の一歩は、引き出しひとつから
いきなり家全体をやろうとすると、たいてい途中で力尽きます。僕がおすすめしたいのは、引き出しひとつ、棚一段ぶんから始めることです。手順にすると、こんな流れでした。
まず、その一区画のものを全部出します。次に、ひとつずつ手に取って、さっきの3つに仕分けます。自然で必要なものは戻す。自然だけど要らないもの、見栄で持っていたものは、いったん箱に寄せておく。すぐ捨てなくていいので、判断が軽くなります。箱に入れたまま2週間ほど暮らして、一度も開けなかったら、無くても回るものだと分かります。開けなかったタイミングで手放します。
一区画が済むと、空いた気持ちよさが次の一区画を呼んでくれます。焦らず、週末ごとに引き出しをひとつ、くらいの速さで十分でしょう。持たない暮らしは、勢いより続けられる速さのほうが大事だと感じています。
モノだけじゃない。時間やアテンションも「持たない」
分けて手放す考え方は、物理的なモノの外にも広がります。僕にとって大きかったのは、スマホを見る時間でした。SNSやショート動画は、生きるために自然で必要なもの、ではありません。あれば楽しいけれど、無くても一日は満たされる。エピクロスの分け方で言えば、二番目か三番目の欲望です。
二番目・三番目の欲望だと捉え直してから、通知を切って、見る時間を思いきり減らしました。減らしたぶん、本を読んだり、ぼんやり考えたりする余白が戻ってきます。スマホの時間を手放してみた記録は、デジタルデトックスをやってみた記録のほうに詳しく書いています。興味があれば、あわせて読んでみてください。持たない対象は、モノに限らなくていいのだと思います。
引き算した道具を、ひとつだけ試してみる
減らす話ばかりだと窮屈に聞こえるかもしれないので、足す側の話も。持たない暮らしを進めるうちに、機能を盛った便利なものより、引き算した素朴な道具のほうが、僕は好きになっていきました。最近その象徴だったのが、ソールの薄いベアフットサンダルです。クッションも装飾もほとんど無い、必要なものだけの一足。引き算した道具は、暮らしを窮屈にするどころか、忘れていた感覚を返してくれます。
裸足に近い状態で歩くと、地面の凹凸が足の裏にそのまま届いて、歩くこと自体がちょっと楽しくなりました。素足に近い履き物の体験はルナサンダルを普段履きで3日レビューにまとめています。よければ、こちらものぞいてみてください。持たない暮らしの入口として、身につけるものをひとつ引き算してみるのは、案外いい入り方だと思っています。
よくある質問
Q. ミニマリストの始め方、何から手をつければいい?
A. まずは引き出しひとつ、棚一段から始めるのがおすすめです。全部出して、自然で必要なもの・そうでないものに分ける。要らない側はいったん箱に寄せておき、2週間開けなかったら手放す。小さく始めると続きます。
Q. 持たない暮らしって、我慢や不便が増えませんか?
A. 僕の実感では逆でした。探し物や選ぶ回数が減って、日々はむしろ楽になります。生活に必要なものまで無理に捨てる必要はなく、要らないものだけ手放せば十分だと思います。
Q. 捨てられない性格でも、ミニマリストになれますか?
A. すぐ捨てなくて大丈夫です。「捨てる」ではなく「いったん箱に寄せる」から入ると、判断がずっと軽くなります。実際に使わなかったものだけ、後から手放せばいいので、性格はあまり関係ないでしょう。
Q. どこまで減らせばミニマリストと言えますか?
A. 明確な数の基準はありません。床が見える部屋を目指す必要もない。自分の一日が満たされるのに必要なものが残っていれば、それでいいと思っています。ゴールは人それぞれです。
捨てることが目的にならないように
持たない暮らしをやってみて、いちばん腑に落ちたのは、大事なのは何を捨てるかではなく、何を残すかを自分で決めることだ、という一点でした。エピクロスの分け方は、そのための物差しになってくれます。自然で必要なものを手元に残し、それ以外に取られていた注意と時間を、少しずつ自分に戻していく。
もちろん、僕のやり方であって、正解ではありません。全部を今すぐ手放す必要もないし、床が見えるほど減らさなくてもいい。読んでみて必要だと感じたぶんだけ、引き出しひとつから試してみてください。減った先に戻ってくる余白は、思っていたより気持ちのいいものでした。


