AIで業務を効率化する、個人のはじめ方。非エンジニアが「まず1つ」から自動化した手順
AIで業務効率化と聞くと大がかりに聞こえますが、やることは毎日の面倒な作業をツールに任せるだけ。…

毎日、同じ表を開いて、同じレポートを作って、同じ場所に投げる。「この作業、AIにやらせたら一瞬なのでは」と思ったこと、ありませんか。私はマーケティングの仕事をしていますが、日々の業務の大半が「手を動かすだけ」の作業でした。そこで、AIで業務効率化に本気で取り組み、ルーティンの9割を自動化することを目標にしています。特別なプログラミングの経験はありません。それでも個人で始められた手順を、つまずきどころも含めてまとめます。
先に結論——「全部やる」ではなく「まず1つ」から
AIで業務効率化と聞くと、大がかりな仕組みを想像するかもしれません。でも、やっていることは「毎日の面倒な作業を、ツールに任せる」だけです。そして続けるコツは、はっきりしています。いきなり全部を自動化しようとせず、いちばん簡単な1つから始めること。私も最初は、毎朝の決まったレポートを1本、自動で投稿するところからでした。
始める前に——個人がつまずく3つのパターン
手順の前に、よくあるつまずきを先に潰しておきます。私自身もやりかけたし、周りでもよく見ます。
1つめは、ツール選びから入ってしまうこと。「あれとこれ、どっちがいい?」の比較は楽しいのですが、何に使うかが決まっていないと、アカウントを作っただけで終わります。2つめは、最初から全部を一気に変えようとすること。手が回らず、成果も分散して「入れたけど変わらなかった」になりがちです。3つめは、AIに期待しすぎること。指示が雑だと平気で的外れな答えを返してきます。AIは優秀なアシスタントですが、何も教えなくても完璧に動くスーパーマンではありません。ここを分かっているかで、結果はかなり変わります。
手順——3ステップで「まず1つ」を自動化する
ステップ1|1週間の作業を棚卸しする
最初の一歩は、ツールを触ることではありません。自分が何に時間を使っているかを、まず書き出すことです。1週間ぶん、ざっくりでいいので「この作業に何分」とメモしてみてください。並べてみると、毎回同じ手順でやっている繰り返し作業が必ず見つかります。それが自動化の候補です。逆に、ゼロからアイデアを出す仕事や、人との調整は、いま手をつけるところではありません。
ステップ2|1つだけ選んで、小さく試す
棚卸しができたら、1つだけ選んで試します。5個も10個も同時にやると、全部が中途半端になる。「これがうまくいったら嬉しいな」くらいの作業を1つだけ選んでください。大事なのは、完璧を求めないこと。最初は「7割できていればOK、残りは自分で直す」くらいの気持ちがちょうどいい。それでも、ゼロから全部やるよりは圧倒的に速い。速さを体で感じるのが、ステップ2のゴールです。
ステップ3|うまくいったら、次に広げる
1つ自動化して「これは楽だ」と思えたら、記録に残して次の作業へ広げます。広げるときは、削減できた時間を数字で書いておくのがおすすめです。「毎朝30分かかっていた作業が、ほぼ0分になった」と数字で見えると、続ける手応えになりますし、チームに共有するときも一気に伝わりやすくなります。感覚ではなく数字で語る、が地味に効きます。
実際に自動化した作業(ビフォーアフター)
参考までに、私が実際に自動化した作業と、浮いた時間の目安です。業務の中身は一般化していますが、削減の実感はこのくらいでした。
・毎朝の集計レポート:30分/日 → ほぼ0分/・情報リサーチ:1〜2時間/回 → 15分/回/・朝のタスク整理:20分/日 → 2〜3分/・文章の下書き:3〜4時間/本 → 1時間/本/・週次の数字まとめ:1時間/週 → 5分/週
週に8〜10時間、月にすると30〜40時間ほど浮きました。浮いた時間は、新しい企画や、後回しにしていた「本当はやるべきだったこと」に回せるようになりました。本当の狙いはそこです。作業を減らすこと自体がゴールではなく、その先の時間を何に使うか。時間が空いたあとの生き方については抱えすぎると質が落ちる、という話にも書いています。よければあわせてご覧ください。
自動化しないほうがいいもの
とはいえ、何でも自動化できるわけではありません。ターゲットをどこに置くか、どの施策を優先するかといった判断は、AIに投げても「場合によります」しか返ってこないことが多い。コピーやデザインの方向性も、叩き台は作れますが、最終的なOKとNGは人が決めるしかない。意外と難しいのが人とのやりとりで、文脈や関係性が大事なので、定型にしづらいのです。
ただ、これは「自動化できない」というより「自動化しないほうがいい」領域だと思っています。手を動かす作業をAIに渡すからこそ、人がやるから価値のある仕事に時間を使える。どこまでAIに任せ、どこを自分で握るかという線引きは、AIでチームを組む分業の話にまとめました。興味があれば覗いてみてください。
まず今日の一手
「具体的に何から?」という方に、最初の一手として効果を実感しやすいものを挙げておきます。会議の文字起こしをAIに渡して「要点3つとやることをまとめて」と頼む。メールやチャットの下書きを「こういう趣旨・トーンで」と伝えて8割まで作ってもらう。表計算の定期集計を任せる。どれも、AIを触ったことがない人でもその日のうちにできます。
そして、使い込むほど頼れるのが、自分の好みや流儀をAIに覚えさせておくことです。やり方はAIに自分を覚えさせて相棒に育てる話にまとめています。あわせてどうぞ。
自分の業務のどこから自動化すればいいか、何を任せてどこを人が握るか。個人や小さなチームでのAI活用について、仕組みづくりの相談や伴走の支援をしています。合いそうだと思われたら、お問い合わせはこちらから気軽にご連絡ください。
AIで業務効率化というと大げさに聞こえますが、始まりはいつも小さな1つです。完璧な計画を立てることより、まず1個やってみること。「あ、こんなに簡単にできるんだ」という感覚が、次の自動化を連れてきてくれます。


