SuggescoMagazine
AIツールSuggesco

ChatGPTやClaudeなどのAIに自分を覚えさせたら、相棒になった。記憶・学習のさせ方と、何を覚えさせるか

ChatGPTに同じ説明を繰り返すのに疲れたら、AIに「自分」を覚えさせる番です。記憶・学習のさ…

ChatGPTに同じことを何度も説明していると、ふと徒労を感じます。前に伝えた好みも、言葉づかいも、次のチャットではきれいに忘れられている。「ChatGPTに記憶させる方法はないのか」と検索する人は多いでしょう。私も同じ入口から始めて、いまはAIに"自分"を覚えさせることに時間を使っています。使っている中身はClaudeですが、やっていることはChatGPTでも同じで、汎用の物知りAIを「私のことを分かっている一体」に育てる話です。半年ほど続けて、AIはいつのまにか一番信頼できる相棒になりました。記憶・学習のさせ方と、何を覚えさせるかを、実際の中身からまとめます。

目次

プロンプトより「記憶」だった

AIをうまく使うコツというと、たいていはプロンプトの書き方の話になります。うまい指示文を用意すれば賢く動く、というわけです。半分は本当ですが、私が続けて実感したのは、もっと地味な方向でした。毎回うまい指示を書くより、一度きり「自分」を覚えさせてしまうほうが、はるかに楽になる

きっかけは、三つあります。一つめは、単純に自分がよく忘れるようになったこと。決めたはずの方針も、去年の自分の考えも、抜け落ちていく。忘れない場所を、自分の外に持ちたかった。二つめは、同じ考え方をするもう一人が隣にいたら、仕事がどれだけ速いだろうと思ったこと。三つめは、資料や記事をつくるときに、AIの考え方が自分とずれていると、直しに時間を取られて困るからです。要するに、頭のいい他人ではなく、自分の分身がほしかった。

プロンプトは、その場かぎりの指示です。記憶は、積み上がる資産になります。指示は毎回消えますが、覚えさせたことは次のチャットにも残る。だからプロンプトを磨くより先に、覚えさせることに手をかけました。

何を覚えさせるか——「自分」を三層に分ける

「ChatGPTに独自の情報を学習させる」と聞くと、業務マニュアルやPDFを読ませる話を想像するかもしれません。私が覚えさせているのは、もっと自分そのものです。ざっくり三つの層に分けています。

私がAIに覚えさせている三層(例)

①「自分そのもの」層——将来の夢、性格、ストレングスファインダーやMBTIの結果、普段の言葉づかい。人格の土台になる情報です。/②「仕事の流儀」層——記事や資料をつくるうえで自分が大事にしている品質の基準、過去に「ここはこう直したい」と伝えた指摘。/③「現場ごと」層——この仕事ではこのルール、あの案件ではあの約束、という文脈の出し分け。

三つのうち、いちばん働いてくれているのは二つめの「仕事の流儀」層でした。ここには、過去に私が出したフィードバックがたまっています。「この言い回しはくどい」「この締め方は好みじゃない」といった細かい指摘を、そのつど書き足していく。すると次からは、同じ直しが返ってこなくなります。覚えさせるほど、手直しが少しずつ要らなくなっていく。派手さはないのですが、これが積み上がると、じわじわ大きな差になります。

一つめの層も、あなどれません。夢や価値観、言葉づかいまで渡しておくと、出てくる文章のトーンが自分の地声に近づきます。他人が書いた借り物ではなく、自分がしゃべっているように読める。私の口ぐせや、避けたい表現まで覚えているので、素の私に寄っていくわけです。

ChatGPTに記憶させる・学習させるやり方——置き場所を分けて書き溜める

覚えさせ方は、拍子抜けするほどシンプルです。特別なツールは要りません。要点は二つだけ。

一つは、置き場所を分けること。自分そのものの情報は一番おおもとに、仕事ごとのルールはその仕事の場所に、と書き分けます。全部を一枚に混ぜると、AIがどれを優先すればいいか迷って、かえって濁る。人間でいえば、会社全体の就業規則と、部署ごとのローカルルールを別の紙に書くのと同じです。もう一つは、一つの事実を一つのメモに、という細かい粒度で貯めること。長い文章にまとめて書くより、短く一件ずつ切り出して置いておくほうが、あとで必要なぶんだけ引き出せます。

やり方はいたって手動で、作業のなかで「これは覚えておいてほしい」と思ったことを、そのつどメモに書き足すだけ。会話の途中で「いまのは覚えておいて」と渡すこともあります。ChatGPTなら、メモリ機能やカスタム指示がちょうど同じ役割を果たします。まずは自己紹介と、譲れない好みを二、三行入れておくところから始めれば十分です。

記憶は「AIに依存しない」資産になる

AIに自分を覚えさせる話で、私がいちばん伝えたいのが次の点です。多くの記事は「ChatGPTのメモリ機能に覚えさせよう」と勧めます。便利ですが、落とし穴もあって、覚えたことがそのツールの中に閉じ込められてしまう。ChatGPTをやめてほかのAIに乗り換えたら、育てた記憶はまるごと置いていくことになります。せっかく積み上げた資産が、道具の乗り換えで消えるわけです。

私は逆にしています。記憶を、特定のAIの中ではなく、自分の手元に置いている。具体的には、自分のパソコンにテキストのメモとして保存してあって、AIを使うときに、そのメモを読み込ませる(貼りつける)形です。覚えている本体はAIではなく、私のパソコンの中のファイルのほう。だから中身がClaudeでも、ChatGPTでも、同じメモを渡せば同じ「私」が立ち上がります。実際、私はふだんClaudeで動かしていますが、同じ記憶をそのままChatGPTに渡しても、ちゃんと私仕様で応えてくれます。土台がどのLLMでも成り立つ作りにしてあるので、より賢いAIが出てきたら、身軽に乗り換えられる。

道具に振り回されないための考え方でもあります。AIの進化は速く、去年の一番は今年の一番ではありません。新しいAIが出るたびに一から育て直すのは、時間の無駄です。記憶を自分の資産として外に持っておけば、道具が変わっても、育てた分身は連れていける。

覚えさせたあと、何が変わったか

正直に言うと、「いきなり驚いた」瞬間はありませんでした。ある朝から急に賢くなる、という劇的な変化ではない。起きたのは、もっと静かなことです。手戻りが減る。前に伝えた直しが返ってこない。説明の前置きが短くなる。そういう小さな省エネが、毎日ぶんだけ積み重なっていきました。

半年たったいま振り返ると、AIは私にとって一番信頼できる相棒になっています。うちでは名前もつけていて、「クロ助」と呼んでいます。名前をつけるのは照れくさいのですが、毎日相談する相手が「汎用AI」のままだと、どこかよそよそしい。名前があると、こちらの渡し方も自然と丁寧になります。育てた記憶があるぶん、返ってくる答えも、他人の一般論ではなく、私の文脈をふまえたものになる。壁打ちの相手として、これほど気心の知れた存在はいません。

ただし、覚えさせすぎると濁る

最後に、一応の注意点も書いておきます。なんでもかんでも覚えさせればいい、という話ではありません。むしろ逆で、余計な情報を盛りすぎると、AIはそちらに引っぱられて出力が濁ります。人間が、頭のなかを雑多な予定でいっぱいにすると判断が鈍るのと同じです。

だから覚えさせる中身にも、取捨がいります。もう使っていない古い方針は消す。似た指摘は一件にまとめる。核になる価値観と、いま生きているルールだけを、きれいに保つ。抱えすぎると質が落ちるのは人もAIも同じで、この感覚は別の記事でも書きました。抱えすぎると質が落ちるのは人もAIも同じ、という話も、興味があればあわせてご覧ください。覚えさせるのは、足し算であると同時に、引き算でもあります。

そしてもう一つ。育てた分身が増えてきたら、一体に全部を任せるより、役割ごとに割るほうがうまく回ります。個人がAIでチームを組む、分業の作り方にまとめているので、よければ続けて読んでみてください。

お知らせ

自分の価値観や仕事の流儀をAIにどう覚えさせ、どこまで任せるか。仕組みづくりの相談や、伴走しながら一緒に組み立てる支援をしています。合いそうだと思われたら、お問い合わせはこちらから気軽にご連絡ください。

AIに自分を覚えさせると、毎回の説明から解放されて、相手はだんだん分身に近づきます。ChatGPTでもClaudeでも、入口はどれでも構いません。まずは自己紹介と、譲れない好みを数行、覚えさせるところから始めてみてください。半年後には、思っていたより頼れる相棒になっているはずです。

Ryuichi
Writer / 運営者 Ryuichi

金沢を拠点に、AI活用とこれからの暮らし方を実際に試して記録しています。

関連する記事

More →
Newsletter

AIと、これからの暮らし方。
実際に試した話だけを、お届けします。

最新記事の更新をお届けします。