SuggescoMagazine 第 93 号 P.01
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AI動画生成のプロンプトは、1カットずつ合っていても揃わない。39カットを同じ絵柄で並べた書き方

1カットぶんを注文するだけなら、AI動画生成のプロンプトはそこまで難しくありません。手こずるのは…

AI動画生成のプロンプトは、1カットぶんを注文するだけなら、そこまで難しくありませんでした。手こずったのは、39カットを同じ絵柄で並べたときです。以下で挙げるプロンプトは、2026年8月に8分26秒の動画を1本仕上げたときの、絵コンテ39カットぶんの手元の記録です。モデルごとの書き方の違いも、動きの指定の一般論も扱いません。生成のたびに1枚ずつ開いて確かめている間は、どのカットも通っていました。通しで見たところ、話のつながっていない6枚に、同じマークが描き足されていました。止まるまでに書き換えたのは4つで、そのうち2つは、絵の中身の指定ですらありませんでした。

目次

AI動画生成のプロンプトは、1カットずつ合っていても揃わない

プロンプトの解説はたいてい、1カットをどう出すかで終わっている

動画生成のプロンプトの書き方を調べると、被写体、動作、場面、カメラの動き、画風、という項目を順に埋める形の解説がよく出てきます。1カットを注文するための手順としては、そのとおりだと思います。私も最初はその形で書いていましたし、項目を埋めれば1カットは出ます。

39カットを並べたときに困ったのは、そこではありませんでした。1カット単位の項目表には、隣のカットとの関係を書く欄がありません。被写体も動作も場面も、そのカットの中だけで完結する指定です。ところが、通しで再生したときに目に付くのは、1枚の出来より、前のカットと違って見えるところでした。

39カットを通しで作ると、出方が変わる

作ったのは、静止画を並べて話を進める形の動画です。絵コンテは39カットで、そのうち33カットが1枚絵、動かしたのは6カットだけです。全編を動かす組み方をしなかった理由は後半に書きます。

絵柄を揃えるために、生成のたびに参照画像を1枚添えていました。線の太さ、影の付け方、紙の色。文章で説明するより、見本を1枚渡すほうが早いからです。用意していたのは2枚で、場面のあるカット用に夜の机を描いた1枚、抽象的なカットや余白が主役のカット用にもう1枚。カットの性格で使い分けていました。

渡した参照画像から、頼んでいない要素が運ばれます。抽象カット用の1枚は「横棒が何本も並んだだけの絵」だったのですが、その横棒のマークが、内容の関係ない6枚に描き足されていました。もう一方の夜の机は、机とは関係のないカットの背景に、場面ごと写り込みました。どうやって気づいたかを書いたのが1枚ずつは合格していたのに、通しで見たら壊れていた。AIに丸投げした動画で見落とした4か所です。あちらは見つけるところまでで、ここから先が、次から出さないために書き換えた文言になります。

参照画像を渡すときの4点セット ── 39カットで通った文言

結果から書くと、止まったのは4つを同時に書いたときでした。1つだけ足しても、2つ書いても止まりません。実際、いちばん粘った場面のカットは、3回目でようやく通っています。順に書きます。

1つ目|真似てほしい範囲を「描き方だけ」に限る

参照画像を渡すと、AIはその1枚を丸ごと手本として受け取ります。こちらが真似てほしいのは線の太さや紙の色だけで、描かれている物まで真似てほしいわけではありません。ところが渡せるのは1枚の絵なので、真似てほしい部分と真似てほしくない部分が同居したまま届きます。

そこで、真似てよい範囲を項目名で並べました。実際に冒頭へ置いている一文が下のものです。

Match only the drawing medium, line weight, hatching texture
and paper tone of the reference image.

画材、線の太さ、ハッチングの質感、紙の色。この4つだけ、と限っています。「絵柄を似せて」と書いていたころは、絵柄という言葉がどこまでを指すのかが決まっていませんでした。項目名で並べると、範囲がこちらの手に戻ります。

2つ目|写してほしくないものを、名前で呼ぶ

最初に使っていたのは Do not copy the scene or the setting という一文でした。場面と背景を写すな、という意味です。前の回で通っていた文言を、そのまま持ってきていました。

当たらなかった相手が、横棒の羅列でした。横棒が並んだだけの絵には、場面も背景もありません。書いてある言葉が指す先が、参照画像の中に無かったことになります。真似てほしくないものは、参照の側にある名前で呼ばないと止まりませんでした。

いま書いているのは、下の形です。

Do not copy any object, mark, shape or layout from the
reference image. Draw only what is described below and
nothing else.

物、マーク、形、配置。4語で名指ししています。語数を足したから通ったわけではなく、参照の絵に実際に写っているものを名前にした、という違いです。場面のあるカットで、参照とは違う場面を描かせるときは、もう少し具体的に並べます。

Match ONLY the drawing medium, line weight, hatching density
and paper tone of the reference image. Do NOT reproduce the
reference image's scene, objects, furniture or layout.
Draw a completely new scene.

3つ目|画面に置くものの個数を言い切る

4つのうち、書く前は要ると思っていなかったのが個数の指定でした。参照画像の写り込みは、別の絵がまるごと現れる形では来ませんでした。個数を書いていないところに、参照の中の物が1つ増えて入ってきます。本来2つのはずの画面に3つ目が置かれている、という出方です。

なので、その場面に何個置くのかを数で書くようにしました。

The new scene contains EXACTLY TWO objects in total: ...
Do not duplicate, mirror, repeat or echo the subject.
No second pair, no partial subject at the top of the frame.

「全部で2つ」と総数で言い切るところと、複製や反転で増やすなと重ねて書くところ。この2つを入れてから、画面の隅にもう1組現れる形が出なくなりました。

4つ目|空けておく場所を、位置と広さで書く

4つ目も、絵の中身ではありません。何も描かない場所を、位置と広さで指定します。

The entire upper half of the image is completely blank
untouched cream paper with absolutely nothing drawn in it.

「余白を多めに」と書いていたころは、余白がどこにどれだけ空くのかが毎回変わりました。余白は、場所と広さで書いたときだけ、こちらの思ったところに空きました。上半分と決めてしまえば、そこに何かが増える余地も同時に消えます。

抽象的なカットでは、末尾にもう一段並べています。参照画像が横棒の羅列だったので、その形を名指しで止めた並びです。

no rows of horizontal bars, no stacked bars, no repeated
horizontal strips, no ruled list of lines, no rectangular
border, nothing drawn outside the described subject,
the rest of the paper is completely blank.

最後の一文が、3つ目と4つ目をまとめて言い直したものになっています。描くと決めたもの以外は紙のまま、という指定です。

この4つで確かめられた範囲

2026年8月に作った動画1本、39カットぶんで通った文言です。使ったのは1つの画像モデルで、他のモデルでも同じように止まるかは確かめていません。文言そのものは英語で、日本語で書いた場合に同じ結果になるかも試していません。

「真似ないで」が届かなかったのは、参照画像の側に理由があった

単一の被写体と大きな余白の絵に差し替えたら止まった

文言を直したのと同時に、参照画像そのものも入れ替えました。抽象カット用に使っていた横棒の羅列をやめて、被写体が1つだけ描かれ、あとは大きく余白が空いている絵に差し替えています。

並んだ図形や格子模様の絵を見本にすると、その模様が絵の特徴として前に出ます。線の太さを見てほしくて渡しているのに、渡された側には「同じ形を並べる絵」に見えている。文言をどれだけ足しても、絵の側にその特徴が残っている限り、混ざる余地は残ったままでした。差し替えてからは、同じ文言でも出方が変わっています。

もうひとつ、前の回で通った参照画像をそのまま持ち越すのをやめました。使うのは最初の1枚までにして、その回で気に入った絵が1枚出たら、そこから先はその絵を参照に昇格させます。持ち越すと、前の回の絵が今回のカットに混ざってきます。

参照画像を、写してほしい範囲の宣言として選ぶ

文言を直しているうちに、変わったのは参照画像の選び方でした。参照画像は絵の見本というより、写してほしい範囲の宣言として選ぶようになりました。いい絵かどうかではなく、その絵の中に「写されると困るもの」がいくつ写っているかで決めます。

選び方を変えてからは、情報の詰まった絵ほど参照には向かないと思うようになりました。物が3つ写っていれば、3つとも運ばれてくる可能性があります。単一の被写体と大きな余白という条件は、絵として地味に見えますが、参照としては言うことが少なくて済みました。

絵柄そのものを揃える工程については、1枚あたりの単価の話も含めてHiggsfield Soul 2.0は1枚0.12クレジット。安さが変えたのは絵の質ではなく作り方だったに実測を置いています。1枚が安いと、参照に使う候補を並べてから選べるようになる、という話も添えました。

プロンプトの順番と、動かすカットの決め方

順番については、私の場合は3つの塊で並んでいます。先頭が、いま書いてきた参照画像の扱い。真ん中が、そのカットに何を描くか。末尾が、描かないでほしいものの列挙です。参照の扱いを先頭に置いているのは、あとに回すと、その手前に書いた描写に押されて弱くなったからでした。描かないものは、末尾に並べたほうが途中で切れずに済んでいます。

もっとも、これは1つのモデルで39カット回した範囲の話です。語順の作法として一般化できるほど試していません。ただ、参照画像を渡すときに限れば、制限を先に置くと素直に通ります。

39カットのうち、動かしたのは6カット

絵コンテを引く段階で、動かすカットは6つに絞りました。残りの33カットは1枚絵のまま、ゆっくり寄るなどの処理で持たせています。動画なのだから全部動かすものだと最初は考えていたのですが、通しで見ると、動くカットが続くほうが落ち着かなくなりました。

動かす6カットは、話が切り替わる場所に置いています。静かな絵が続いたあとに1つ動くと、そこが節目に見えます。全部動くと、節目が節目でなくなります。

1枚絵のままで通るカットに動きを頼んだら、頼んでいないものまで増えました

動く必要のないカットに動きを頼むと、動き以外のものまで増えました。止まっていればよかった背景の物が揺れたり、画面の端に何かが入ってきたりします。1枚絵として合格していたものが、動かした結果として崩れる形です。

絵コンテを引く時点で、そのカットが動くことで何を伝えるのかを言葉にできなければ、静止画のままにしています。「なんとなく動いていたほうがそれらしい」で頼むと、たいてい余計なものが付いてきました。動かすカットの起点には、そのカット用に作った静止画をそのまま渡しています。別の絵から始めると、そこでまた絵柄がずれます。

文字が絡むカットは、生成に描かせずに後から乗せています。生成に文字を描かせたときにどう崩れるかはNano Banana 2とProの違いは系列だった。同じ指示で名前が3層とも食い違った再現ログで、出力を等倍で並べて逐語まで引きました。字幕として乗せるほうの工程は台本の文字とAIの時刻からSRT字幕を組む方法が担当しています。同じ日の朝に出ている1本です。

静止画のプロンプトとは作法が違う

ここまで書いてきたのは、複数のカットを揃えるための書き方です。1枚を思ったとおりに仕上げる作法は、別のところにあります。画風の伝え方、要素の減らし方、生成物の確かめ方といった1枚単位の話はAI画像生成のコツに分けて置いてあります。同じプロンプトという言葉で呼ばれていても、1枚を仕上げる作業と39カットを揃える作業では、書く場所が違います。混ぜて1つの型にしようとすると、どちらも中途半端になります。

頼む単位は1カット、揃うかどうかは39カットで決まる

プロンプトは1カットずつ書きます。返ってくるのも1カットずつです。ところが、その1本が成立しているかどうかは、39カット全部が並んだ状態でしか分かりません。頼む単位と、引き受けている単位が違います。

4点セットのうち2つが、描く中身の話ではなく個数と余白の話だったのは、たぶんそのためだと思っています。個数も余白も、そのカットの中だけを見れば些細な指定です。39カット並べたときに、揃っているように見えるかどうかを決めているのは、そういう地味なほうでした。

絵そのものは、もう自分の手では描いていません。それでも、どこまで真似ていいかという線は、毎回こちらが言葉にして添えています。線を引くことと絵を描くことは、同じプロンプトの中に並べて書いていても、別の作業なのだと思います。

よくある質問

Q. 動画生成AIのプロンプトの順番は?
A. 私の場合は、参照画像の扱いを先頭、そのカットに描くものを真ん中、描かないものを末尾、の3つの塊で並べています。参照の制限をあとに回すと、手前の描写に押されて弱くなる場面がありました。ただ、これは1つのモデルで39カット回した範囲の観察です。語順の扱われ方はモデルによって違うはずなので、この並びを型として覚えるつもりはありません。参照の制限だけは前に出す、というところだけ守っています。

Q. 動画生成AIのプロンプトのコツはありますか?
A. 1本を通して作る前提なら、参照画像の渡し方に4つ書くこと、というのが私の答えです。真似てよい範囲を項目名で限ること、写してほしくないものを参照の側にある名前で呼ぶこと、画面に置くものの総数を書くこと、何も描かない場所を位置と広さで書くこと。4つを同時に書いたときに、参照からの写り込みが止まりました。1カットの出来を上げるコツとは別の話なので、そちらは静止画の記事に分けてあります。

Q. キャラクターがカットごとに変わってしまうときは?
A. 同じ人物を出すカットでは、表情の見本を1枚作って、毎回それを参照として渡しています。ただ、参照を渡すだけでは足りませんでした。渡した1枚から、顔以外の要素まで一緒に運ばれてくるからです。人物を揃えたい場合も、参照の何を写して何を写さないかを書き分けるところは同じでした。私が確かめたのは、後ろ姿と表情の見本を使った39カットぶんの範囲です。

Q. プロンプトは英語と日本語のどちらで書くべきですか?
A. 私が実際に通したのは英語の文言です。前の回で使っていた英語の一文を直しながら組み立てたので、そのまま英語で続いた、というのが正直な経緯になります。日本語で同じ文言を書いた場合に同じところで止まるかは試していないので、英語のほうが優れているとは言えません。ひとつ言えるのは、4つのうち個数と余白の指定は、数字と位置を書くだけなので、どちらの言語でも書きようが変わらないところです。

まとめ

8分26秒の動画を1本、39カットで作りました。1カットずつのプロンプトは項目を埋めれば書けますが、それだけでは39カットが揃いませんでした。揃わない原因は、絵柄を揃えるために渡していた参照画像の側にありました。

止まったのは4つを同時に書いたときです。真似てよい範囲を「画材、線の太さ、ハッチングの質感、紙の色」と項目名で限ること。写してほしくないものを「物、マーク、形、配置」と参照の側にある名前で呼ぶこと。画面に置くものの総数を数で言い切ること。何も描かない場所を「上半分」のように位置と広さで書くこと。あわせて、参照画像そのものを、単一の被写体と大きな余白の絵に差し替えました。

ここに書いたのは、1つの画像モデルで39カットを回した1本ぶんの記録です。他のモデルや他の作り方で同じように止まるかは確かめていません。それでも、参照画像を「いい絵かどうか」ではなく「写されると困るものがいくつ写っているか」で選ぶようになってから、書き直しの回数はだいぶ減りました。

更新履歴

2026年9月:初版を公開しました。本文の文言と39カットという数字は、2026年8月に8分26秒の動画を1本制作したときの実際の記録です。英語のプロンプトは、そのとき実際に通ったものをそのまま載せています。使用したのは1つの画像モデルで、他のモデルでの再現は確認していません。

Ryuichi
Writer / 運営者 Ryuichi

金沢を拠点に、AI活用とこれからの暮らし方を実際に試して記録しています。

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