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AI動画が気持ち悪いのはなぜ? 視聴者に指摘された手と人の位置、没テイク133件と症状別の確認表

AI動画の「なんか気持ち悪い」を、自作のドラマとアニメに付いたコメント169件と…

本記事はアフィリエイト広告(Higgsfieldの紹介プログラム)を含みます。紹介しているのは、私が自分で契約して使っているサービスです。

スマホのおすすめにAIの動画やCMが流れてきて、ふと指が止まる。指の本数がおかしいわけでもないのに、なんか気持ち悪い。AI動画にそう感じる人は多いと思いますし、おかしな感覚ではないはずです。理由を聞くと「不気味の谷」という言葉が返ってきますが、言葉をもらっても、自分が止まった瞬間の説明にはなりません。私はAIで連続ドラマ『派遣監査人』とアニメ『社会人レベル』を作って公開していて、壁についた手が怖い、というコメントを受け取った側です。以下では、作品に付いたコメント169件と没テイクの候補133件の記録から、どこの崩れで引っかかるのかを、手・人の位置・目線・口と声・物の動き・紙の文字・顔に分けて書きます。扱うのは私の作品の記録までで、AI動画全般の調査ではありません。気になった動画があれば、もう一度開いて、どの部位で止まったかを照らしてみてください。作っている人は、症状から引ける表から読んでもかまいません。後半の章には、撮り直しても消えなかった崩れも並べました。

AI動画を気持ち悪いと感じるのは普通で、動くと強まると言われてきた

AI動画を見て気持ち悪いと感じても、感覚が古いわけでも、心が狭いわけでもないと思います。なぜ気持ち悪いのかを1つの理由に言い切る材料は、私の手元にはありません。よく挙がる説明は次の不気味の谷で、私の記録から言えるのは、どの部位の崩れで引っかかったかまでです。AIで作ったCMが気持ち悪いかどうかも、感じ方は人で分かれるでしょう。以下で扱う記録は、ドラマとアニメのものに限ります。

不気味の谷は、ほとんど人間という手前で落ちるという見立て

ロボット工学者の森政弘が1970年に書いた「不気味の谷」は、人に似せていくと親しみは増すのに、ほとんど人間という手前で急に不気味さへ落ちる、という見立てです(『Energy』7巻4号)。本人の監修で2012年に出た英訳では、動きが山も谷も大きくするとされ、義手は動くともっと不気味になる、という例が挙げられています。

写実的なAIの人物は、1枚の画像なら人間とほとんど見分けがつかないことがあります。動画になると、指の位置や目線や足の運びのわずかな差が動きとして続くので、人間らしさとの差は止めた1枚より見えやすくなるのだと思います。リアルなのに変、という感じは、差がごくわずかなときに出るのでしょう。

止めた画では分からず、再生すると見える歪みがあった

画像と動画の違いは、私の手元の記録にもあります。『派遣監査人』Season 2の横長版で、私は、再生を始めて1秒すぎの所で中央の背景が「ぐわんと」一瞬歪むと指摘しました。AIの点検は前後のコマを並べた画で見ていましたが、止めた画では大きさの違いが分からず、見落としていました。前のコマとの差を数で出して、跳ねている所を探す点検を足しています。動画の気持ち悪さには、止めた1枚を見ても説明できないものがあります。

コメントに書かれていたのは「気持ち悪い」より部位の名前だった

私が控えたコメント169件の中に、「気持ち悪い」という語は0件でした(「きもい」「キモ」「不気味」も0件)。映像や顔に向けた「怖い」が2件、「違和感」が1件です。169件の範囲の話で、誰も気持ち悪いと思わなかったという意味ではありません。(2026年11月1日に全文を検索して数えた計算です。)映像の崩れを指摘したコメントは、感想の語より、手や位置という場所の名前で書かれていました。「なんか気持ち悪い」も、場所の名前にすると人に伝えられます。

私の動画に付いた指摘は、手と人の位置に集まった

2026年10月18日に、Instagram 92件・YouTube 65件・TikTok 12件の計169件を台帳に控えました。YouTubeは全件、Instagramは主要なリール13本の上位、TikTokは上位だけなので、全コメントではありません。1件に複数の分類が付く数え方で、映像の破綻が6件、AIへの反応が10件、発音や読みが3件、わかりにくさが2件でした(ほかに続きの希望が28件、称賛が26件など)。

映像の破綻6件は、手と人の位置の話だった

6件の中身を要約して並べます。いいねの数は10月18日の取得時点です。

指摘の要約回いいね
壁についた手が怖いSeason 2第2話44
左手が右手になったSeason 2第2話8
人物のワープSeason 2第5話6
椅子の所に足があるSeason 2第6話1
他の話よりAIの感じが強くて、話が頭に入らないSeason 2第5話1
顔が近いSeason 3第1話0

破綻の指摘は、ほぼ手と人の位置で見つかっています。Season 2第5話だけAIの感じが強いと言われた理由は、記録からは分かっていません。Season 2は全話480pの素材で、この回だけの違いは見つからなかったからです。

AIへの反応は、驚きと抵抗の両方があった

AIへの反応の10件は、一方向ではありませんでした。AIでここまで作れるのかと驚く声、実在の役者かと調べた声(いいね17の投稿があります)、実在しないと知って残念がる声、AIと知らずに見て驚いた声。同じ台帳に、顔がみんな同じで少し怖い、AIの印象は良くないが曲は好き、人間が関わる部分を残してほしい、という声も並んでいます。SNSで流れてくるAIへの反応は、私の台帳の中でも両方向でした。

台本への批判は、映像の破綻とは別に届いた

批判は映像だけに向いていません。Season 3第5話の公開後には、前の話とのつながりが分からない、作りが粗いのでは、という声が複数ありました(割合は数えていません)。同時に好意的な声もありました。映像より台本に向いた批判です。以下は映像の話に絞りますが、指摘の中に台本への批判も混ざっていたことは書いておきます。

手元の没テイクの台帳で多いのは、声と頼んでいない人

作る側の記録も並べます。没テイクの候補台帳は141件で、使わないと決めた8件を除く133件の内訳は次のとおりです(内訳は計算)。141件のうち138件は映像を見て記録し、3件は記録のみです。

没の種類件数
言い間違い38
余計な人が出る18
小道具・文字の崩れ15
動きが不自然14
台詞崩れ13
その他11
背景が変わる9
顔・体の崩れ8
立ち位置が違う7

全数ではありません。NG集の候補として選んだ分で、面白いかどうかも基準に入っているので、没テイク全体の本数も崩れの発生率も出せません。言えるのは、手元の台帳では声の崩れが多く並び、次が頼んでいない人、というところまでです。

コメントで名指しされたのは手と人の位置で、台帳に多いのは声でした。母数が違うので数字は比べられませんが、見ている人と作っている側で、目につく場所はずれています。

「手と人の位置を見る」は、公開後に言われて足した決まり

コメントを集計した10月18日に、運用の決まりへ「手と人の位置を必ず見る」を入れ、確認リストに「視聴者が見つけた崩れ」の欄を足しました。手、人の位置、余分な足や腕、顔の距離、話をまたいだ人物の見た目の5項目です。最初から確かめていたのではなく、公開したあとに言われて足しています。欄を足したあとの書き出しで、5項目を実際に通した記録も、まだ見つかっていません。指摘の付いた各話は、『派遣監査人』の作品ページから観られます。

症状から引く確認表は、NGが出るたびに足した記録でできている

「なんか気持ち悪い」を部位に分けると、見る場所が決まります。次の表は、NGが出るたび、コメントが来るたびに1行ずつ足していった確認の項目を、症状から引ける形に並べ直したものです。プロンプト(AIへの指示文)と点検のスクリプトを書くのはClaude Code(指示を受けて作業を進めるAI)で、映像を見て判定するのが私の役目です。以下で「撮り直した」「直した」と書いている作業の多くも、私の判定を受けてAIに進めさせたものです。

症状見る場所手元で起きたことやったこと
手が怖い左右、指の並び、袖、手の本数左手が右手になる/腕が別々に付く/誰の服でもない袖どちらの手かを指示に書く/胸から上で切る/寄せて画面の外へ出す
人が飛ぶ・増える人数、立ち位置、奥の人ワープ/分身/呼んでいない一団人数を毎回書く/見せる範囲をずらして外へ出す
目線が合わない誰が誰を見るか、レンズ相手を見ない/レンズを見る目線を指示に書く/1クリップ3カットまで
口と声が変口の動き、読み、アクセント後半ほどずれる/読みが崩れる長さを測る/声だけ作り直す
物の動きが変落ちる、受ける、扉宙で受ける/体が扉を抜ける倒れる瞬間で切って音で見せる
紙の文字が読めない紙、時計、画面白紙/意味の無い文字編集で描く
顔が同じ・違う目印、並べた見比べ顔の違いを点検が見落とす基準の顔と左右に並べる

作っている人が1本で試すなら、1カットを開いて、頭のコマ、終わりのコマ、手の順に止めて見るのが入口です。見ている人なら、表の左の列のどれで止まったかを1つ言えれば、「なんか」は外れます。

直す目的は、AIで作ったことを隠すためではありません。コメントにあった、AIの感じが強くて話が頭に入らない、という状態を減らすためです。AIの表示は別に付けていて、見分け方の章で触れます。

手が気持ち悪いときは、左右と体のつながりを見る

私の記録では、手の崩れは指の本数より、左右の取り違えと体とのつながりで起きていました。

左手が右手になる

Season 3第5話の最初の版で、私は「手がおかしい。左手で押してるのに右手になってる」と指摘しました。前のカットで置いていたのは左手なのに、手元の寄り(手元を大きく写すカット)だけ右手の形で出ていました。最初のコマを作り直させて(腕は左から、親指が手前)、4秒だけ撮り直しています(2026年10月10日)。同じ左右の取り違えは、Season 2第2話のコメントでも指摘されていました。

以後は、手元の寄りを作る前に、前後のカットで「どちらの手か」を決めます。絵コンテの指示には、左手か右手かと、見える指の並び(親指が手前か奥か)まで書く決まりにしました。

座って体をひねると、腕が別々に付く

同じ回の次の版では、私が「腕おかしくなってる」と止めました。座ったまま体をひねって見上げる形で、キーボードへ伸びる腕と机の端の肘が別々に出ていたカットです。胸から上の寄りに作り直して腕と手を画面の外へ出し、5秒撮り直しました。座って体をひねる人は腕まで入れない、台詞は胸から上で撮り、手は別の寄りで見せる、という決まりはここから来ています。

誰の服でもない袖が写る

Season 3第4話では、「紙を持っている手の袖が、誰の服でもない」と私が指摘しました。このカットは撮り直さず、1.30倍に寄せて袖を画面の外へ出しています。手の形だけを見ていると、袖の崩れは見落とします。

没テイクに残っている手の崩れ

台帳には、ほかにも次の崩れが残っています。指の本数を数えるだけでは見つからないものが並びます。

  • 書く手が2本に増える
  • 手首から先だけ宙に残って落ちていく
  • 指に紐が巻き付いて一体化する
  • 紙コップが手の甲に貼りつく
  • 手帳を持った手で電話に出る

人が飛ぶ・増えるのは、カットの真ん中だけ見ていると見つからない

台帳で多かった「余計な人が出る」と、コメントで指摘された「ワープ」は、どちらも人の位置の話です。

書かないと、呼んでいない人が立つ

Season 3第1話の最初の版では、指示に人数を書かなかったところ、絵コンテに居ない一団が奥に立ちました(4ブロック。ブロックは話を区切った単位です)。以後、動画の指示と絵コンテの両方に「六人だけ・列も人だかりも奥の作業員も無し」を毎回書く決まりにしました。

Season 3第3話では、寄りの撮り直しが人だかりの引き(広く写す画)になりました。2本目は写す人を1人だけにして、指示に「ひとり」と書いて通しています。Season 3第5話の全10ブロックを1回で作ったときは人だかりが出ませんでしたが、頭の1.54秒に頼んでいない別の画が入り、そこは切って使いました。人の問題が消えても、別の所に頼んでいないものが出ることはあります。

背景と人の入れ替わりは、通しで見ると一度に出てくる

縦のSeason 2をつないで横長にした版では、10月3日の版を私が通しで見て、約20件の指摘を返しました。カットごとに背景が違う、手前の人が別人、分身がいる、椅子や人物の位置が動く、入館証が空、といった内容です。記録に残した原因は、縦の画の左右を手がかりなしで1本ずつ描き足したことと、カット単位で見ていて場面を並べていなかったことの2つです。

没テイクの台帳にも、人の崩れは次のように残っています。

  • 同じ人が2人並ぶ
  • カットが変わると別の場所へ瞬間移動する
  • 寄りの途中で0.5秒だけ前のカットに戻る
  • 髪型が一瞬で変わる、服が0.3秒で変わる
  • 手前の2人の頭がスーッと消える
  • 扉が開く前から中に立っている

背景の物の大きさも変わります。Season 3第3話では、入ってきた場所を引きで見せた直後の寄りで、扉が奥に小さく写りました。引きの直後の寄りには引きの画を参照に渡し、背景の物の大きさも言葉で指定する形に変えています。

点検を、真ん中の1コマから頭と終わりのコマへ広げた

次の版でも、私は22秒・23秒で右奥の人が変わっていると指摘しました。AIの点検は各カットの真ん中の1コマだけで、頭と終わりを見ていなかったのが見落としの理由です。次の版では、全162カットを「頭・1/3・2/3・終わり」の4コマで場面ごとに並べる点検に変えて、26件を直させました。使ったのは442.5クレジット(Higgsfieldで生成に使う単位)です。見る項目は次の5つでした。

  • 部屋が同じか
  • 後ろの人と机
  • 手前の人物の髪と服
  • カットの頭と終わりで画が変わっていないか
  • 元の動画を重ねた画の端が二重になっていないか

版ごとの経過と点検の組み方は、Claude CodeとPremiereで162カットの横長版を組んだ記事に書いています。興味があれば、ぜひご覧ください。

消せない人は画面の外へ出し、一括で流した版は約40点崩れた

消せない人は、見せる範囲をずらして画面の外へ出しました。後ろを横切る分身は、その人のいないコマの画で埋めています。

一括の処理で崩した例もあります。10月18日のSeason 3の横長版では、人物の映る164カットを約2,900クレジットで一括で横長にしたところ、私の通しの確認で約40点の破綻が出ました。顔、口、後ろ姿、服、分身、背景の描き替えです。私の感想は「なんでこんなにクレジット使ったのに破綻しちゃったんだろう」でした。原因の記録は、場面の種類ごとの試しをせずに一括で流したことです。その版では、約300秒を縦の切り出しに戻しています(追加費用なし)。

目線とカメラの置き方を外すと、ドラマではなく広告やフリー素材に見える

目線の崩れは、手や人の位置のように指で示しにくい代わりに、「ドラマっぽくない」という言葉で出てきました。

話しかける人を、相手が一度も見なかった

2026年9月29日、Season 2第2話の登場シーンのテスト(480p・10秒)の1本目を、私は「最初佐倉さんの方みてなかったり、ドラマっぽくない」とNGにしました。話しかける人はドアに背を向けて座ったまま声を張り、相手は一度もその人を見ません。指示に目線もカット割りも書いていませんでした。

2本目は肩越し・寄り・横の2ショットに割って「おしい」まで上がり、残りは読みの問題でした。テストは4本で計96クレジットです。足した確認は次の4つです。

  • 話す人は相手のほうを向く
  • 誰もレンズを見ない
  • 各カットで誰が誰を見ているかを指示に書く
  • 聞いている側の反応を画にする

カットを細かく割ると、指示が抜ける

『社会人レベル』のテストでは、4カットに割った1本だけ、最後の短いカットで「レンズを見ない」が抜け、人物がレンズを見ました。以後は1クリップ3カットまでにしています。没テイクにも、台詞をカメラ目線で言う、4人の見ている所がばらばら、という崩れが残っています。

正面の歩きと均一な光は、広告や記録映像に見えた

人物が正面から歩いてくる画や、左右対称に並ぶ画は、広告やフリー素材の撮り方に見えます。カメラは人物の横・斜め・肩越しから置く、と確認リストに書きました。寄りの大口の笑いや、腕を高く振る芝居も、CMのノリになります。

光にも失敗があります。SNSの投稿風の動画向けの「AIっぽさ除去」の型(映画っぽくしない、全部にピント、均一な光)をドラマに使ったら、記録映像やフリー素材に見えました。夜の場面は、光源を決めて影を作る書き方に変えています。正面に歩いてくる構図を外していった経緯は、AI動画のカメラワークのプロンプト一覧で、使った語と一緒に追えます。

口と声のズレは、耳で探す前に測る

手元の台帳で多かった声の崩れには、耳だけでなく、数で探せるものがありました。

後半ほどずれた原因は、生成ではなくつなぎ方だった

『社会人レベル』第1話の初版で、私は「口パクと声が後半ずれている」と指摘しました。実測すると、2分半で+0.26秒、6分で+0.86秒、9分で+1.29秒です。原因は生成ではなく最後のつなぎ方で、パーツごとに音が約0.02秒余っていました。直したあとは、通しで最大+0.002秒に収まっています。長い動画で口が合わないときは、モデルを疑う前に、音の長さを測る価値があります。

音の崩れは文字起こしで探し、読み間違いは耳で探す

台詞の検品は、Whisper(手元のMacで動く文字起こしのモデル)のsmallとmediumの両方で一字一句見ます。2つが食い違ったら、音が崩れている合図です。アクセントは私が耳で判断します。

読み間違いは、Whisperでは見つかりませんでした。漢字で書き起こすので、音の違いが消えるからです。Season 2第6話は台詞の人名をかなで書いて、9ブロックとも撮り直しがありませんでしたが、「二重請求」「最終日」の読み間違いは私が耳で見つけました。コメントにも、人名のアクセント、「訂正」の読み違い、イントネーションが直れば完璧、という声が付いています。

1行だけ声を作り直すと、隣の行と声質が変わることがある

崩れた1行は、動画を作り直さずに、声だけSeed Audioで作り直し、口元だけSync Lipsyncで合わせ直しました。当時の記録で声は1本0.2クレジット、口元は3.4秒で約12クレジットです。目元はほぼ変わりませんでした。2026年11月1日の見積もりでは、Seed Audioの台詞1本が0.2クレジット、Sync Lipsync 3の4秒が14.4クレジットでした。

ただ、作り直した行が同じ話者の隣の行と声質が変わって聞こえると、私が指摘した例もあります。声の直し方の全体は、Seedance 2.5の使い方と日本語の台詞が崩れる4つの型にまとめました。崩れ方の型から確かめたいときに読んでみてください。

物の動きは直し切れず、倒れる瞬間で切った

落ちる、受け止める、通り抜ける、という動きは、指示を書いても思いどおりに動きませんでした。

紙コップの受け止めは、撮り直すたびに別の形で外れた

Season 2第3話で、私は「紙コップはりついてたり、結構色々やばいかも」「セリフとかはかなりいいんだけど映像が結構おかしい」と返しました。紙コップが手の甲に貼りついたまま動く、落ちるはずのコップが落ちない、手の前で浮く、という崩れです。

同じ場面を撮り直すと、テーブルの上の宙で受け止める画になり、私が「位置が不自然」と止めました。天板より下で受ける版は、コップが浮き上がって不採用です。最後は倒れ落ちる瞬間(1本の0.40〜1.65秒)で切り、受け止める瞬間は音と次のカットで見せました。

膝をつく動きは、靴ひもを結ぶ姿勢になった

Season 2第4話では、膝をつく動きが靴ひもを結ぶ姿勢に見えました。撮り直しても同じだったので、沈み込む瞬間で切って次の寄りへ渡しています。

最初と最後のコマを渡すと、閉まった扉を人が抜けた

Season 3第3話では、私が「手と体が貫通してる」と指摘しました。Klingに最初と最後のコマを渡して間を埋めさせたら、閉まった扉を人が突き抜けたカットです。場面ごとSeedanceで撮り直させました(8秒×2本)。物の向こうから現れる動きや、通り抜ける位置関係の動きは、Klingの最初と最後のコマでは作らないと決めました。

切る決まりは、失敗のあとで絵コンテに入った

コップと膝を経て、Season 3の絵コンテには、手元の難しい物理(落とす・受け止める・書く)は短くして、倒れる・落ちる瞬間で切り、音で見せるという決まりが入りました。没テイクには、コーヒーが上へ噴き上がる、封筒が宙を舞って机に並ぶ、閉じて落ちた手帳がテント状に立つ、といった画も残っています。

動かさなければ安全、というわけでもありません。Season 3第4話では、動きの少ないカットに私が「いきなり静止画に見える」と感想を返し、紙の図案を入れたコマを最初のコマにして撮り直しました。第1話でも「動いていない」という指摘を受けて、体重を移す、杖をつき直す、ゆっくり寄る、を指示に書いて撮り直しています。

紙と時計の文字は、生成に任せず編集で描き直した

Season 2第2話で、私は「付箋に文字書いてない」「額縁が真っ白で意味わからない」と指摘しました。壁の時計も、場面は11時5分なのに2時10分ごろを指していました。紙と時計は編集で描き直しています。

没テイクの文字はもっと分かりやすく崩れます。見出しが意味の無い日本語になる、差し出した紙の文面が入れ替わる、メモが読めない英語の筆記体になる、氏名が書くほど謎の漢字に化ける。読めそうで読めない文字は、見た人が一瞬で「変だ」と言える部位の1つでしょう。

顔の違いは一覧の大きさでは分からず、基準の顔と左右に並べる

顔は、作る側でも見落とします。人物ごとに見分けの目印を1つ決めて、検品で見る場所を絞っていますが、目印だけでは見逃す場面がありました。

オフショット(作品の人物の写真)87枚を一覧の大きさで見て「顔は揃っている」と報告されたあと、私が1人の顔の違いを指摘しました。別のAIに1枚ずつ見比べさせて、計10枚を外しています。集合写真でも、別のAIの点検がOKとした1人を、私が「おしいね」と止めました。以後は、基準に決めた顔の画像と左右に並べた見比べを一緒に見て、「若く見える」「整って見える」は合格にしません。

見る人は、話をまたいで人物の見た目を照合しています。同じ服・髪・体格で出す決まりも、コメントを集計したあとに足しました。

撮り直しても消えなかった崩れと、出したままの粗がある

ここまでの直し方で、気持ち悪さが消えるとは言えません。直らなかった例を、試したことと一緒に並べます。

試しても直らなかった6つ

崩れ試したこと結果
膝をつく動き(Season 2第4話)撮り直し靴ひもを結ぶ姿勢のまま。沈み込む瞬間で切った
お辞儀の角度(『社会人レベル』)15°と書き、「これ以上深くしない」も入れた30°前後になり、止まらなかった
紙コップの受け止め(Season 2第3話)天板より下で受ける版コップが浮き上がって不採用
口元(Season 2の横長版)合わせ直しを8本・約82クレジット口がほとんど変わらず不採用
縦の画を4倍に拡大した画の眠さ(Season 2の横長版)編集で補う編集では直らなかった
集合写真の4Kへの引き上げ画像の引き上げを試した肌の質感がなめらかになって3人が若返り、服や手もろう細工のようになったので使わなかった

最後の例のように、解像度を上げても気持ち悪さが減るとは限りません。撮り直しても合わせ直しても、届かないものが残りました。

粗を残して公開した回もある

『社会人レベル』第1話は、頭上の板が顔に重なるコマ、紙面の文字のような線、お辞儀の角度と表示のずれなどを残して公開しました。公開した粗が見る人にどう受け取られたかは分かっていません。残した粗の全体は、AIアニメの作り方の記事に一覧で載せています。よければあわせて読んでみてください。

没テイクは、間違い探しの動画にして公開した

崩れそのものを作品にしたものもあります。没テイクで作った横長の間違い探し(全16問・5分22秒・Higgsfield 0クレジット)です。未確認の没素材357本を見直し、問題は私が2回に分けて選びました。選ぶ基準の1つは、説明なしでおかしいと分かるかどうかです。YouTubeのAIの申告は「はい」にしました。2026年11月1日の時点では公開したばかりで、反応の数字はまだありません。

Higgsfieldは、崩れが払えば消える道具ではない

この記事の記録は、Higgsfieldのモデルを中心に作った『派遣監査人』と『社会人レベル』の範囲です(2026年11月1日に確かめた記録)。Higgsfield以外で作った動画で同じことが起きるかは、この記事では確かめていません。クレジット制なので、直らなかった撮り直しの分も減ります。撮り直しの分を見込まずに1本を確実に仕上げたい人には向きません。

AI動画の見分け方には手がかりがあるが、言い切ることはできない

見る側の判断の材料も書いておきます。公式の説明は2026年11月1日に読んだ範囲で、ルールは変わるので、投稿や判断の前に各社のヘルプを開いて確かめてください。

手がかりは、崩れた部位・投稿先のラベル・来歴の3つ

1つ目は、この記事で並べた部位です。手、人の位置、目線、物の動き、紙の文字で引っかかったら、もう一度止めて見る理由にはなります。

2つ目は投稿先のラベルです。YouTubeのヘルプは、本物のように見えるAIの生成・改変に開示を求めていて、現実に起きていない場面を写実的に生成したものも対象です。非現実的な内容やフルアニメーションの動画は、不要の例に挙げられています。写実的なものはプレーヤーにラベルが出ることがあり、リアルでないものやアニメーションは説明欄を開いたときに出ることがあります。Instagramのヘルプは、写実的な動画と、実際の音声のように聞こえる音声にラベルの付与を義務付けています。漫画風の風景の動画は、不要の例です。

3つ目は来歴です。C2PAは作成元と編集の履歴を示す公開の標準で、履歴はContent Credentialsとして示されます。Googleの投稿によると、Geminiアプリに動画(100MB・90秒まで)を渡すと、SynthIDという透かしの有無を音声と映像の区間ごとに答えます(2025年12月18日の投稿)。調べられるのはGoogleのAIの透かしです。

手がかりが無くても、AIではないとは言い切れない

開示は、投稿した本人の申告に頼る部分があります。Metaの説明は、編集の一部は拾えないことがあると書いています(ページの更新は2025年2月19日)。Instagramのヘルプにも、AIコンテンツのすべてに特定に必要な情報が含まれているわけではない、という注があります。C2PAのFAQも、来歴の情報はファイルから分離でき、メタデータは意図せず、または意図的に消えることがあるとしています。SynthIDが見つからなかったときにAIではないと言えるかは、Googleの投稿からは確認できませんでした。

部位で見分ける方法も、言い切りには使えません。作っている私の手元でも、顔の違いを点検が見落としていますし、コメントには実在の役者かと調べた声がありました。崩れは確認の工程を足すと減るので、手がかりとしても弱くなっていくのだと思います。他人の映像を見てAIかどうかを言い当てられるとは、私は思っていません。手がかりが見つからなくても、AIではないとは言い切れません。公式の説明に、ここまで言い切った文は見つからなかったので、ここは私の記録からの話です。

私の作品は、ラベルと題名でAIと示している

InstagramではAIラベルを付けて投稿し、YouTubeではAIの使用を申告しています。Season 2とSeason 3は、タイトルと説明の頭にも「AIショートドラマ」と入れました。

よくある質問

Q. 生成AI動画の見分け方は?
A. 確実な方法は、私には分かりません。手がかりになるのは、手・人の位置・動き・文字の崩れと、投稿先のラベル、来歴の情報です。私の作品の記録と2026年11月1日に読んだ公式の説明の範囲では、どれも無いからといってAIではないとは言えませんでした。

Q. 生成AIの不気味の谷とは?
A. 森政弘が1970年に書いた、人に似せるほど親しみが増すのに、ほとんど人間という手前で急に不気味になる、という見立てです。ロボットについて書かれた文章で、森は人に似せ切ることを目指さず、手前の第1の山に留めるよう勧めています。生成AIの動画に当てはめるのは、後からの使い方です。

Q. なぜAIの顔が気持ち悪いのでしょうか?
A. 理由は断定できません。コメントには、顔がみんな同じで少し怖い、という声がありました。私の作品の確認では、「若く見える」「整って見える」顔を合格にしていません。4Kへの引き上げで肌がなめらかになって3人が若返り、服や手もろう細工のようになった例もあるので、きれいな顔が気持ち悪さを消すとも言えません。

Q. AIアニメはなぜ気持ち悪いのでしょうか?
A. 感じ方は人によるでしょうし、私の記録からは理由を言えません。AIアニメ『社会人レベル』第1話は、頭上の板が顔に重なるコマなどの粗を残して公開しましたが、見た人がどう受け取ったかは分かっていません。分かっているのは、書いた15°のお辞儀が30°前後になった、という作る側の記録までです。

まとめ

AI動画の「なんか気持ち悪い」は、手・人の位置・目線・口と声・物の動き・紙の文字・顔のどれかに分けると、指させるようになります。コメント169件のうち映像の破綻に触れたものは6件で、ほぼ手と人の位置でした。手元の没テイク133件で多かったのは声で、次が頼んでいない人です。どちらも全数ではなく、Higgsfieldのモデルを中心に作った『派遣監査人』と『社会人レベル』の、2026年11月1日に確かめた記録の範囲です。

作っている人が見に行くのは、1カットの頭と終わりのコマと手です。見落としは、真ん中の1コマだけを見ていた点検から出ていました。一方で、撮り直しても消えなかった崩れも残っています。膝をつく動きは靴ひもを結ぶ姿勢のままで、15°と書いたお辞儀は30°前後になり、口元の合わせ直しは8本・約82クレジットを使っても、口がほとんど変わりませんでした。

更新履歴

2026年11月7日:初版を公開しました。数字と経緯は、2026年11月1日に確かめた作品の記録から書いています。コメントの台帳は2026年10月18日に取得した169件で、全コメントではありません。AI動画全般の調査ではなく、Higgsfieldのモデルを中心に作った『派遣監査人』と『社会人レベル』の範囲の話です。公式の説明は2026年11月1日に読んだ内容です。

ryu
Writer / 運営者ryu

Suggesco Studio の運営者。AIでドラマと音楽を作っています。AIの道具と使い方はAIコラムに、制作の裏側は note に書いています。

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