SuggescoMagazine 第 97 号 P.01
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タイムブロッキングは、自分より他人に届く。共有カレンダーに集中ブロックを先に置くやり方

タイムブロッキングを一日の時間割だと思って続けても、自分で決めた枠は自分でずらせます。変わったの…

予定表を先に埋めておく。タイムブロッキングとして紹介されているのは、たいてい自分の一日の時間割をどう組むか、という話です。僕も長いあいだ、そういうものだと思って使っていました。ただ、しばらく続けてみて分かったのは、自分の時間割より先に、周りから僕の一日がどう見えるかが変わっていたことでした。カレンダーは社内で共有しているので、集中ブロックを置いた瞬間に、その時間帯は「埋まっている人」として相手の画面に並びます。まとまった時間を確保できたのは、自分を律したからというより、相手から予定を入れられなくなったからでした。

目次

タイムブロッキングを、予定表の埋め方だと思っていた

タイムブロッキングは、一日を時間の塊に区切って、その枠で何をやるかを先に決めておくやり方です。言葉の意味としてはそれだけで、あとは枠の切り方をどうするか、という話になります。

僕が最初に読んだ解説も、ほとんどが枠の切り方でした。午前のこの時間帯を企画に、午後のこの帯を打ち合わせに。集中できないのはスケジュールの組み方が下手だからで、うまく組めれば守れるようになる、という前提です。時間管理の技術としては、たしかにそのとおりだと思います。

しばらく続けてみて、守れない日が普通にありました。理由ははっきりしていて、自分で決めた枠は自分でいくらでもずらせるからです。ずらしても誰も困りません。困らないので、ずらします。優先順位を決め直したつもりで、実際は目の前の用事に場所を明け渡していただけでした。枠を細かく作り直しても、崩れる速さは変わりませんでした。守れなかった原因を自分の意志の弱さに置いているかぎり、打てる手は「次はちゃんとやる」しかありません。

手応えが変わったのは、枠の切り方を工夫したときではありません。同じカレンダーを、社内の全員が見ている状態に置いたときでした。タイムブロッキングの解説をいくつも読みましたが、共有しているカレンダーで他人からどう見えるかを主題にしたものは、僕が見た範囲では見当たりませんでした。

共有カレンダーだから、ブロックは他人の側に届く

埋まっていれば、そこにミーティングは入らない

予定を組む側の動きを考えると、単純な話です。空いている時間帯を探して、そこに入れる。埋まっていれば、その枠は候補から外れます。相手が僕のブロックの中身を知っている必要はありません。埋まっている、という表示だけで調整の動きが変わります。

しかも、やりとりが一度も発生しません。声をかけられて、理由を用意して、代わりの時間を出す。あの往復が起きる前に、候補から静かに外れています。予定を動かす調整も、そのあとの気まずさもありません。自分でどうにかしなくても、埋まっているという一点だけで話が終わります。僕のブロックは、自分の時間の使い方より、相手の予定の入り方を動かしていました。自分の意志で守るものだと思っていた枠が、実際には相手の画面で働いていました。

副産物として、少し連絡を取りにくい人になれる

続けていると、おまけがついてきます。少し連絡を取りにくい人になれます

事故ではなくて、意図してやっています。空いている時間が多い人には、声がかかりやすい。かけやすいから、かかる。相手が悪いわけでもなくて、そういうものだと思います。だから、かけやすさを下げています。

ミーティングまわりを絞ったときの一日の密度は、はっきり違いました。同じ一日でも、途中で何度も切られる日と、切られない日では、終わったときに手元にあるものが違います。速く手を動かせたかどうかより、途中で切られずに済んだかどうかで差がついていた、という感覚に近いです。

冷たさではなく、まとまった時間を確保するための仕組み

冷たくしているつもりはありません。連絡が取れない人になりたいわけでもなくて、まとまった時間を確保するための仕組みとして置いています。

まとまった時間は、細切れの合計とは別物です。合計が同じでも、いくつにも分かれている日と、続けて空いている日では、できることが違います。細切れの側は、毎回入り直すところから始まるので、深いところまで潜る前に終わります。カレンダーを埋めているのは、その続いた時間を守るためです。

取りにくくしているのは入口の広さであって、通れなくしているわけではありません。ブロックの外の時間はいつも通りですし、本当に急ぐ用件は、枠を気にせず飛び込んできます。一日じゅう閉じているわけでもないので、余裕のある時間帯に返しています。

頼む側は、相手のカレンダーを見てから決めている

頼まれごとを減らす話になると、たいてい断り方から始まります。ただ、断るのが上手になっても、断る場面そのものが減るわけではありません。うまく返せた日が増えるだけで、声がかかる量は同じままです。

頼む側から見ると、頼みごとは頼みやすい人のところに集まります。誰に声をかけるかは、たぶん数秒で決まっていて、その材料の一つが相手のカレンダーです。空いていれば、いま聞いてもよさそうに見える。埋まっていれば、あとにしようとなる。判断の材料を、こちらから先に置いておける、ということでもあります。

だから、断る練習より手前をいじっています。断る前の段階で減らせるなら、自分も相手も気を使わずに済みます。断られた側にも、断った側にも、何も起きません。気まずさが発生しなかった、という言い方もできます。減らせるとしたら、頼もうと思われる手前の場所です。

入口で絞るという考え方そのものは、決断疲れは、減らすより渡すほうが早かったに書きました。あちらで1文だけ触れた予定の埋め方を、今日は掘り下げています。

手前で減らしても、引き受けるかどうかをその場で決める場面は残ります。そちら側の線の引き方は断れない人は性格を直さなくていい|「境界線」の引き方と、断り方の型4つに書いています。

実際にやっている置き方

先に置く

順番だけは守っています。空いた隙間に集中ブロックを入れるのをやめて、先に置いてから、残りで打ち合わせを組みます。

隙間に入れる形にすると、週の予定が固まった時点で置き場所が無くなります。残った隙間はたいてい細切れで、まとまった長さの枠は入りません。先に置いておけば、まとまった時間帯が残ります。順番を逆にしないだけの話で、難しい調整はしていません。

崩れる前提で置く

枠は普通に崩れます。会議が延びる、急ぎの用事が入る、自分の見積もりが甘い。守れなかった日を失敗として数えていくと、たぶん続きません。

崩れたら、翌日以降に置き直すだけにしています。全部の枠を守ることが目的なら、この方法は向いていないと思います。ただ、その日守れなかったとしても、そこに予定が入らなかったこと自体は変わりません。自分が使えたかどうかと、相手から見て埋まっていたかどうかは、別々に成立します。片方が崩れても、もう片方は先に仕事を終えている、という状態です。

ブロックしても防げなかったもの

カレンダーで止められるのは、予定の形をして入ってくるものだけでした。予定の形をしていないものは、そのまま通り抜けます。

まず電話です。こちらのカレンダーを見てからかけてくる人はいません。鳴った時点で枠は切れているので、ここは仕組みの外にあります。数としては多くないので、割り切っています。

もう一つは、自分から引き受けてしまうぶんです。ブロックが止めてくれるのは相手から飛んでくる依頼だけで、自分で手を挙げたものには何もしてくれません。会話の場では口のほうが先に動くので、そこは手つかずのままです。

目に入るものを減らす側の引き算は、情報遮断は「断つ」より「見えなくする」。机とデスクトップを空にして、通知は時間で区切るにまとめています。机とパソコンの画面でやった記録なので、カレンダーの話とは受け持ちが違います。並べて読むと、入口の塞ぎ方が2種類あることが分かるはずです。

予定を守ることが目的ではない

僕がカレンダーでやっているのは、突き詰めると相手から見える状態の調整でした。時間の管理という名前がついているだけです。

自分の一日を思い通りに進めるための時間割だと思っているうちは、守れない日のたびに自分を責めることになります。カレンダーに置いた枠は、自分との約束というより、相手の画面に出しておく表示です。表示として置いてあるだけで、声がかかる回数が変わります。

そのうえで、確保した時間を何に使うかは別の問題として残ります。手を動かす作業をAIに渡せるようになった一方で、決めることの数はむしろ増えました。判断の数が増えていく話はAI疲れの正体は、判断の数だった。作業が減ったぶんだけ増えていた3つの経路にまとめました。まとまった時間が要る理由を先に知りたければ、そちらからでも構いません。

タイムブロッキングについてよくある質問

Q. タイムブロッキングとタイムボクシングは何が違いますか?
A. 枠に終わりを決めるかどうかだと理解しています。タイムブロッキングは「この時間帯はこれをやる」と場所を押さえる形で、タイムボクシングは「この作業は60分まで」と上限を決める形です。僕が使っているのは前者で、共有カレンダーに出したいのが「埋まっている」という表示だからです。

Q. Googleカレンダーでは、どう置いていますか?
A. 普通の予定として作っているだけで、特別な機能は使っていません。会社のカレンダーを共有しているので、予定を作った時点で、ほかの人からは埋まっている時間帯として見えます。

Q. 予定通りに進まない日は、どうしていますか?
A. その日は諦めて、翌日以降に置き直しています。崩れた枠を当日中に取り返そうとすると、後ろの予定まで押していくので、たいていうまくいきません。守れた枠の数を数えるのをやめてからのほうが、気楽に続けられています。

まとめ

タイムブロッキングを、自分の一日を組み立てる技術だと思って始めました。実際に変わったのは、僕のカレンダーを見た人の動きでした。

先に置いて、崩れたら置き直す。守れた枠の数で採点しなくなってから、まとまった時間が取れる日が増えました。少し連絡を取りにくい人になるのは、そのために払っているコストで、いまのところ困った場面はありません。

予定を先に埋めるのは、自分を追い込むためではありません。まとまった時間の居場所を、先に取っておくためです。全部の時間帯を埋める必要はないと思っていて、僕も、まとまって考えたい仕事があるときに置いています。

Ryuichi
Writer / 運営者 Ryuichi

金沢を拠点に、AI活用とこれからの暮らし方を実際に試して記録しています。

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