SuggescoMagazine
Suggesco AI何を読めばいいか、お困りですか?
AIツールSuggesco

「AIで仕事がなくなる」は嘘か本当か。業務の大半をAIに渡して分かった、なくならない仕事の残し方

「AIで仕事がなくなる」と検索して出てくるのは消える職業のランキングばかり。日々の業務のかなりの…

「AIで仕事がなくなる」と検索する人が増えています。私も同じ言葉で調べたことがありますし、正直なところ他人事ではありません。ただ、検索して出てくるのは消える職業のランキングばかりで、実際に自分の仕事をAIに渡した人が何を感じたのかは、あまり書かれていない気がします。私は日々の業務のかなりの部分をAIに渡してみました。起きたのは、仕事が丸ごと消えることではなく、作業だけが手元から静かに離れていくという変化でした。

目次

「AIで仕事がなくなる」ランキング記事が語らない現場の話

AIでなくなる仕事のランキングは、どの記事もだいたい似た顔ぶれです。データ入力、経理、一般事務、翻訳、コールセンター。並んでいる中身に大きな間違いはないと思います。ただ、読んでも自分の明日が何も変わらないのが、あの手の記事の弱点でしょう。職業名を眺めているうちは、自分がその職業に入っているかどうかしか判断できません。

実際に手を動かしてみると、見え方が変わります。私の一日は、職業という大きな塊ではなく、細かい作業の連なりでできていました。音声の書き起こし、数字の集計、下書き、体裁の整え、確認用のまとめ。AIに渡せたのは、その一つひとつでした。ランキングは職業の単位で語りますが、現場で消えていくのは作業の単位です。同じ職業の中でも、消える作業と残る作業がまだら模様に混ざっています。

だから「あなたの職業は10年後になくなります」と言われても、たぶん半分しか当たりません。なくなるのは職業まるごとではなく、その中に含まれていた手間の部分だからです。

AIに渡せた作業と、渡しても戻ってきた作業

実際にどこまで渡せたのか、正直に書きます。渡せたのは、答えの形があらかじめ決まっている作業でした。長い打ち合わせの音声を文字にして要点をまとめる。散らばった数字を一つの表に寄せる。記事や資料のたたき台を作る。定型の返信文を用意する。どれも、以前は私が数時間かけていたものです。今は指示を出して、返ってきたものを直すだけになりました。

逆に、渡したのに戻ってきた作業もあります。誰に何をどの順番で伝えるか、という判断。相手の機嫌や社内の空気を含んだやり取り。まだ言葉になっていない違和感を、言葉にする作業。AIに任せると、もっともらしい答えは出てくるのですが、私が求めていたものとは微妙に違う。結局、私が引き取り直すことになりました。手放せたのは作業のほうで、戻ってきたのは判断のほうでした

ちなみに私が日常的に使っているのはClaudeで、長い文章を読ませたり、考えを整理する相手として置いています。ChatGPTから入って両方触りましたが、自分のやり方に合ったのがClaudeだった、というだけの話です。どちらが優れているかというより、自分の仕事に馴染むほうを選べばよいと思っています。

渡せた作業/戻ってきた作業

渡せた=文字起こし、集計、下書き、要約、定型文、調べもの、フォーマット合わせ。つまり「正解の形が事前に決まっているもの」。戻ってきた=優先順位を決める、断る、相手の背景を汲む、まだ形になっていない違和感を言葉にする、最終的にやると決める。つまり「その場の文脈と責任がくっついているもの」。線引きは能力の高低ではなく、答えが決まっているかどうかにありました。

AIを複数の役割に割って動かすようになってから、線引きはさらにはっきりしました。役割ごとに分けて任せるやり方はAIエージェントの作り方は分業だという話に詳しく書いています。興味があれば、ぜひご覧ください。

「AIに仕事を奪われる」の、嘘の部分と本当の部分

「AIで仕事がなくなるのは嘘」という記事もよく見かけます。私の実感では、嘘の部分と本当の部分が混ざっています。分けて書いたほうが役に立つと思うので、正直に整理します。

嘘だと感じるのは、「ある日突然、職を失う」という語り口です。私の周りで起きたのは、そういう劇的なものではありませんでした。まず作業が減り、空いた時間が増え、仕事の中身が少しずつ入れ替わる。気づいたら、去年やっていた手作業を今年はほとんどしていない。地味で、静かで、ニュース性のない変化です。

本当だと感じるのは、「作業しか持っていない人の居場所は細くなる」という部分でしょう。手間をかけること自体に価値があった仕事は、じわじわ値段が下がっていくでしょう。奪われるのは職業ではなく、手間の対価として受け取っていた時間のほうです。手間の対価だけで食べていた場合、影響は小さくありません。煽るつもりはありませんが、なかったことにもできない話だと思っています。

役割が薄まっていく不安は、正直あります

冷静に書いてきましたが、私自身に迷いがないわけではありません。AIに渡す量が増えるほど、自分の役割が何なのか、うまく言えなくなってきました。

たとえば、以前は誰かに調査を頼んで、上がってきたものを読んで判断していました。今は頼む相手がAIになっています。速いし、量も出ます。ただ、そうなると私の仕事は「出てきたものにYesかNoを言うこと」に近づいていきます。判断だけが残るのは価値が高いことのはずなのに、実際にやってみると、自分の手で作った実感が薄い。作業を手放すほど楽になるのに、同時に自分の輪郭がぼやけていく感じがあります

いまのところ、答えは出ていません。ただ、少なくとも「出てきたものの根拠を、自分の言葉で説明できる状態」は手放さないようにしています。中身を分かっていないまま渡すだけの人になったら、その時こそ役割がなくなるのだろうと思うからです。同じ道具を使っていても差が出る理由はAIを使いこなす人と使いこなせない人の違いにまとめました。よければあわせて読んでみてください。

「AIで仕事がなくなる」対策は、職を守るより「作業を渡して、判断を残す」

「AIで仕事がなくなる対策」で調べると、資格を取る、AIに強い業界へ移る、といった話が並びます。悪い選択肢ではないのですが、私はもう少し手前でやれることがあると思っています。転職の前に、自分の仕事を作業単位でばらしてみる作業です。

やり方は難しくありません。一週間、自分がやったことを箇条書きで書き出します。会議の議事録を作った、数字を集めた、資料を整えた、誰に頼むか決めた、断った、方針を変えた。書き出した項目に、答えの形が決まっているものと、その場で決めたものの二つで印をつけます。前者はAIに渡す候補、後者は自分に残す候補です。分けてみると、思っていたより前者が多いかもしれません。私の一週間だと、議事録づくり・数字集め・資料の体裁直しは前者、誰に頼むかを決めることと断ることは後者に入りました。

印をつけ終わったら、渡せそうなものから一つずつ試します。全部を一度に渡そうとすると必ず失敗するので、まず一種類だけ。うまくいったら次、という進め方が現実的でしょう。浮いた時間を何に使うかまで決めておくと、なお続きます。私の場合、空いた時間は判断の材料を集めることと、休むことに回しました。働く時間そのものを減らす考え方は週4時間だけ働くという発想にも書いています。関心があれば、のぞいてみてください。

今日からできる三つ

① 一週間の作業を箇条書きにして、答えの形が決まっているものに印をつける ② 印のついた作業を一種類だけAIに渡してみる(いきなり全部は渡さない) ③ 浮いた時間の使い道を先に決めておく。職を守るより、手元に何を残すかを決めるほうが、たぶん先に変化が見えてきます。

よくある質問

Q. AIでなくなる仕事の割合はどのくらいですか?
A. 数十パーセントの仕事が影響を受けるという試算はいくつも出ていますが、調査によって前提も数字も大きく違うと言われています。数字を追うより、自分の一日のうち「答えの形が決まっている作業」が何割あるかを数えるほうが、実感に近い目安になるでしょう。私の場合、書き出してみたら半分以上がそこに入っていました。

Q. 「AIで仕事がなくなるのは嘘」という説はどう考えればいいですか?
A. 職業が丸ごと消えるという意味では、たしかに大げさだと思います。ただ、仕事の中の作業が減っていくのは実際に起きています。嘘か本当かで判断するより、自分の仕事のどの部分が減るのかを見たほうが、次の動きを決めやすいはずです。

Q. AIに仕事を任せると、スキルが落ちませんか?
A. 何も考えずに渡し続ければ、落ちる部分はあると思います。私が気をつけているのは、出てきたものを必ず読んで、根拠を自分の言葉で説明できる状態にしておくことです。中身を理解したうえで渡すのと、理解しないまま渡すのとでは、一年後にだいぶ差がつくでしょう。

Q. 今からAIを触るのは遅いですか?
A. 遅くはないでしょう。難しい使い方を覚える必要もありません。まずは自分がいちばん面倒だと感じている作業を一つ選んで、AIに頼んでみるところからで十分です。うまくいかなくても失うものはありませんし、一度渡せると感覚がつかめます。

まとめ

「AIで仕事がなくなる」の答えは、自分の作業を渡してみて、ようやく実感として分かりました。なくなったのは仕事そのものではなく、仕事の中に含まれていた作業のほうです。文字起こしも集計も下書きも、たしかに私の手から離れました。かわりに残ったのは、何をやるかを決めることと、その決めた理由を説明する役目でした。

正直に言えば、残ったものが自分の価値だと胸を張れるほど、まだ整理はついていません。役割の輪郭がぼやける感覚とも、しばらく付き合うことになりそうです。とはいえ、職業名のランキングを眺めて不安になるくらいなら、自分の一週間を書き出して線を引いてみるほうが、はるかに前に進める気がします。全部を渡す必要はありません。渡せるものから一つだけ、試してみてください。

Ryuichi
Writer / 運営者 Ryuichi

金沢を拠点に、AI活用とこれからの暮らし方を実際に試して記録しています。

関連する記事

More →
Membership

オープンな場では、
言えないことも。

AI活用と仕組み化、これからの働き方・暮らし方。無料の記事では結論を、購読者向けにはそこへ至るまでの実際を、月に1本お届けします。

月額 1,320円 / 年額 13,200円 / いつでも解約できます