SuggescoMagazine 第 77 号 P.01
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Claude Codeで業務効率化する非エンジニアの手順。台帳1枚から、事務をまるごと任せる

Claude Codeはコードを書く人だけのツールではありません。事務に向いているのは、賢いから…

Claude Codeで業務効率化と聞くと、プログラマーがコードを書かせている光景を思い浮かべる方が多いと思います。でも実際は違っていて、プログラマーじゃなきゃ無理なんてことは一切ありません。私が一人の事業で任せているのもコードではなく、クライアント管理と経理のほうです。この記事では、事例を並べるのではなく、案件の台帳から請求書・契約書・支払いまでが1本につながる仕組みを、フォルダの中身ごとまとめます。特別なソフトは使いません。

目次

「コードを書くツール」と思って使わないのは、もったいない

名前にCodeと入っているうえ、紹介記事の多くがコード生成やバグ修正の話をしているので、開発をしない人にとっては入口からして自分向きに見えません。手を出さずにいる人が多いのは、たぶんそこが理由でしょう。

ただ、Claude Codeはターミナル(黒い画面のコマンド入力ツール)でしか使えないわけではありません。私はエディタのCursorに拡張機能として入れて、画面の横で動かしています。ふだん使っているアプリの中に居てもらう形なので、黒い画面を開く場面はほとんどありません。Claudeのデスクトップアプリから使う方法もあるので、自分がいちばん慣れている場所に置くのがいいと思います。入口の見た目が変わるだけで、やれることは同じです。

事務にこそ渡せると分かったのは、事務作業を1週間ぶん記録してみたときです。請求書を作る、案件の状況を思い出す、契約書の条件を確認する。どれも作業そのものより、必要な情報を探して思い出す時間のほうが長いことが分かりました。

そして探している対象は、どれも自分のパソコンの中にあるファイルでした。過去のPDF、メールに埋もれた条件、どこかに書いたメモ。手元のファイルを読んで書ける相手なら、事務のかなりの部分を渡せると気づいたところが出発点です。

事務に向いているのは、賢いからではなくファイルを読み書きできるから

ブラウザで使うAIチャットと、Claude Codeのいちばん大きな違いは、賢さではありません。自分のパソコンのフォルダを直接読み書きできるかどうかです。

チャットに毎回ファイルを貼り付けて説明する形だと、こちらが前提を毎回入力することになります。取引先の宛名、単価、前回の請求内容。説明する手間が、自分でやる手間とあまり変わりません。

手元のフォルダを読める相手なら、話が変わります。「アオゾラさんの今月の請求書を」と言えば、取引先の情報が書かれたファイルを自分で開いて、必要なものを拾ってきます。前提の説明が消えるぶんだけ、依頼が短くなります。

もう1つ大きいのが、作った結果がファイルとして残ることです。チャットの会話は流れて消えますが、ファイルは次の月も同じ場所にあります。仕事の履歴が積み上がる場所が、AIと共有されている状態になります。

ClaudeとClaude Codeは、何が違うのか

同じ名前が付いているので混乱しやすいところですが、役割が別物です。Claudeはブラウザやアプリで会話するAIで、Claude Codeはパソコンの中で動かすAIだと考えると近いでしょう。文章を考えてもらうだけならブラウザ版で済みますし、実際に私も企画を練る段階ではそちらを使っています。

分かれ目は、頼んだ結果をどこに置きたいかです。会話の中で受け取って自分でコピーするならブラウザ版、フォルダの中にファイルとして残したいならClaude Code、という使い分けをしています。請求書のように毎月同じ場所に貯めていく書類は、後者のほうが向いていました。

2026年8月時点では、この「ローカルのファイルを扱える」点が、事務の効率化にClaude Codeが向いている理由のほとんどだと私は思っています。ツールの機能は変わっていくので、そこは前提として読んでください。

実際に任せている事務は、この4つです

一人で事業を回していると、細かい事務が絶え間なく発生します。私が実際に渡しているのは次の4つです。

1|クライアント管理(案件の現在地を出す)

案件が増えると、どれが動いていてどれが止まっているのか分からなくなります。台帳のファイルと各案件のメモを読ませて、「いま止まっている案件は」と聞けば、期日を過ぎたもの、しばらく更新されていないものが並びます。

工夫したのは1点で、止まっている案件を自己申告ではなく、ファイルの更新日時で見つけるようにしたことです。放置している案件は、そもそも忘れているから放置になっています。自分の記憶を頼りにした時点で見つかりません。

2|請求書の作成

取引先ごとの条件を書いたファイルを1つ用意しておいて、「前回と同じ内容で今月分を」と頼む形にしています。宛名の表記も単価も履歴もファイルにあるので、毎回説明する必要がありません。

請求書まわりの詳しいやり方は請求書テンプレートを選ぶのをやめて、条件を書いてAIに作らせる話のほうにまとめました。テンプレートを何枚も持っていた頃の詰まり方から順に書いています。

3|業務委託の契約書

人に手伝ってもらうようになると契約書が要ります。私は、条件(単価・稼働の目安・契約期間・締め日・支払日)だけをデータのファイルに書いて、契約書そのものは毎回生成する形にしました。

決めごとは1つで、できあがったPDFを手で直さないこと。単価を変えるときも、条件のファイルを直して作り直します。書類のほうを「いつでも作り直せるもの」として扱うと、どれが最新版か分からなくなる問題が消えます。

4|支払いの記録

受け取った請求書を、受け取ったその日に台帳へ1行足す。金額と日付を記録して、ファイル名を決めた形に直して保管するところまで頼んでいます。払ってから書こうとすると、たいてい忘れます。

ファイル名も形を決めています。受け取った請求書は20261005_山田太郎_19800.pdfのように、日付・相手・金額を並べた名前で保管する。あとから探すときに必要な情報が名前の中に入っているので、管理用の仕組みを別に作らずに済みました。電子で受け取った書類を電子のまま残す義務もあるので、印刷して紙で持つのではなく、この形でフォルダに貯めています。

支払台帳は、確定申告のときに外注費を数える材料にもなります。1年ぶんを後から掘り起こす作業が消えるのが、いちばん大きい効果でした。

仕組みの中心は、うまいプロンプトではなく台帳1枚

業務効率化の記事を読むと、プロンプトの書き方に多くのページが割かれています。もちろん指示の出し方は大事ですが、私が実際に回してみて効果が大きかったのは、指示の言葉ではありませんでした。

渡す情報が1か所にまとまっているかどうかで、ほとんど決まります。情報が頭の中とメールとデスクトップに散らばっている状態だと、どれだけ指示を工夫しても毎回説明することになるからです。

私が用意しているのは、この形です。

仕事/
├─ CLIENTS.md                  … 台帳(全案件を1行ずつ)
├─ clients/
│   ├─ _template/              … コピー元
│   ├─ aozora/
│   │   ├─ STATUS.md           … 案件カルテ(動く情報)
│   │   └─ RULE.md             … 不変ルール(動かない情報)
│   └─ midorino/
└─ 経理/
    ├─ 請求書/
    │   ├─ 取引先マスター.md
    │   └─ 2026/
    └─ 外注費/
        ├─ 委託先台帳.md
        └─ 支払台帳.md

会社名は架空のものです。テキストファイルが数枚あるだけで、特別なツールは入っていません。

台帳は「1行ずつ」に収める

CLIENTS.md には、全案件を1行ずつ書きます。状態・内容・契約条件・次にやること・期日・最終更新日。書ききれない詳細は各案件のカルテに逃がして、台帳が太らないようにします。ここが厚くなると、結局読まなくなって古くなります。

ファイルの冒頭に「案件の現在地は、これが正」と書いておくのもおすすめです。同じような一覧をあとから別の場所に作りたくなりますが、2か所にあると必ず両方が古くなります。

動く情報と、動かない情報を別のファイルにする

私が最初に失敗したのが、案件ごとのメモを1枚のファイルにまとめて書いたことでした。先方の担当者名も、表現の決まりごとも、今週やることも、全部同じファイルに書いていた時期があります。

半年後に開いたら、まるごと信用できないファイルになっていました。「7月7日にプレゼン」と書かれたまま8月になっていて、その周りには変わらないはずの情報が並んでいる。どこが最新でどこが古いのか、読んでも判別できません。

原因は、更新の頻度が違うものを同じ紙に書いていたことでした。いまは2枚に分けています。

  • STATUS.md(動く情報)… 現在地・次のアクション・待っていること・決まったことのログ
  • RULE.md(動かない情報)… 窓口・表現の決まり・機密の扱い・納品の形式

カルテの中身は、こんな形にしています。

# アオゾラ STATUS

最終更新:2026-08-24

## 現在地
- 8月分の制作を進行中。入稿は先方確認待ち

## 次のアクション
- 8/26 レビュー結果を返す
- 8/31 月次の報告

## 待っていること
- 8/20〜 先方の権限付与待ち

## 決まったことのログ
- 2026-08-12 契約条件を月額に変更

「待っていること」に開始日を書いておくと、あとから助かります。こちらのボールではないのに止まっている案件は、日付が入っていないと何日待っているのか分からなくなります。1週間を超えたものを拾ってもらえば、催促の抜けも減りました。

RULE.mdの最後には「日程や進捗はここに書かない」と自分向けに書いています。うっかり書きそうになるので、注意書きごとファイルに置いておくほうが確実でした。

同じ指示を毎回書かないために、手順をファイルにする

台帳が整うと、次に気になってくるのが「毎回同じ説明をしている」ことです。新しいクライアントを登録するたびに、フォルダを作って、カルテとルールを用意して、台帳に1行足して、と説明していました。

Claude Codeには、決まった作業の手順をファイルに置いておく仕組みがあります(2026年8月時点ではスキルと呼ばれています)。中身は難しいものではなく、ただの手順書です。

# クライアント登録

## 聞くこと(足りなければ質問する)
- 会社名 / 案件の内容 / 契約形態 / 窓口の担当者

## やること
1. clients/_template/ をコピーして clients/<会社名>/ を作る
2. STATUS.md を埋める(最終更新は今日の日付)
3. RULE.md を埋める(日程は書かない)
4. CLIENTS.md に1行追加する
5. 請求が発生する相手なら、取引先マスターにも追加する

## 注意
- 契約金額が未確定なら「要確認」と書いて空欄にしない
- 会社名の表記は先方の書類に合わせる

手順書を置いておくと、「新しいクライアント登録して」の一言で全部そろいます。私がやるのは条件を答えることだけになりました。

手順書にして良かったのは、時短よりも抜けが無くなったことです。以前は台帳に足すのを毎回忘れていました。台帳に載っていない案件は存在しないのと同じなので、地味にいちばん危ない抜けです。手順の5番目に書いてからは飛ばさなくなりました。

賢い判断を任せるより、こういう抜けやすい単純作業を任せるほうが、体感の効果は大きかったです。

始め方の5ステップ

いきなり全部を作ろうとすると、たいてい途中で力尽きます。私が通った順番を書きます。

ステップ1|1週間、自分の事務を記録する

何に時間を取られているかを、先に見えるようにします。ここを飛ばすと、自動化しやすい作業から手を付けてしまい、実は大して困っていなかった、ということが起こります。私の場合は「探す時間」が想像よりずっと長い、というのが分かった時点で方向が決まりました。

ステップ2|台帳を1枚だけ作る

いちばん困っている領域の一覧を、テキストファイルに1行ずつ書きます。案件でも、取引先でも、支払いでもかまいません。全部を書こうとせず、まず1枚。10分ほどで終わります。

ステップ3|その台帳を使う作業を1つだけ任せる

台帳ができたら、それを読ませて1つだけ頼んでみます。「いま止まっている案件は」でも「今月の請求書を」でもかまいません。ここで手応えが出るかどうかで、続くかどうかが決まる気がしています。

ステップ4|うまくいった頼み方を、手順書にする

同じことを2回頼んだら、手順書にする合図です。毎回説明していた内容を、そのままファイルに書き写すだけで構いません。

ステップ5|隣の作業へ広げる

案件の台帳ができると、請求書は同じ情報から作れます。請求書ができると、支払いの台帳も同じ形で作れます。1つ整えると隣が楽になるので、広げる順番は自然に決まっていきます。

一人で事業を回す人がAIを使いはじめるときの入口は、AIで業務を効率化する、個人のはじめ方にもまとめています。まず1つだけ選ぶ、という考え方は共通です。

うまくいかないときに疑うところ

私がつまずいたところと、上位で解説されている失敗パターンを合わせて、よくある詰まり方を挙げます。

指示ではなく、渡している情報が足りていない

返ってくる内容がぼんやりしているとき、原因はたいてい指示の言い回しではなく、材料のほうです。取引先の条件が書かれていなければ、宛名も単価も推測で埋めるしかありません。プロンプトを長く盛る前に、台帳に書き足せる事実がないかを見るほうが早いです。

同じ情報が2か所にある

台帳とスプレッドシート、両方に案件一覧を持っている状態は危ないです。片方だけ更新して、どちらが正しいか分からなくなります。「これが正」と決めた場所を1つにするのが、遠回りに見えていちばん確実でした。

作った仕組みを、だんだん使わなくなる

正直に書くと、私も一度作って使わなくなった仕組みがあります。凝った自動化ほど、自分の実際の動きと合わなくなって放置されやすい。いま残っているのは、どれも「元からやっていた作業を、そのままファイルに書き写しただけ」のものです。新しい習慣を要求する仕組みは、続きませんでした。

自分にしか直せない状態になる

上位の解説記事が失敗パターンとして挙げているのが属人化で、一人で回している場合でも他人事ではありませんでした。仕組みを作った本人でも、3か月経つと「なぜこの手順にしたのか」を忘れます。

手順書のファイルに、理由を1行だけ添えるようにしました。「台帳に足すのを忘れるので5番目に置いた」といった注記です。将来の自分が読んでも意図が分かる状態にしておくと、直すときに壊しにくくなります。人に引き継ぐ場面でも、そのまま渡せる形になりました。

台帳の更新をサボる

カルテの更新を忘れる週は、私にもふつうにあります。ただ台帳さえ生きていれば、そこから復旧できます。全部をきれいに保とうとせず、台帳1枚だけは死守すると決めておくと気が楽です。

任せてはいけない工程と、機密の扱い

効率化の話ばかり書いてきましたが、渡さないと決めている部分もあります。

金額と宛名の最終確認は、必ず自分でやります。 請求書は取引先に届く書類なので、生成された内容をそのまま送ったことは一度もありません。探す工程と計算の工程は任せて、確認は自分に残す。この分け方が現実的だと思っています。

クライアントから預かった資料や、委託先の個人情報を外部のサービスに上げないことも決めています。手元のフォルダで完結させられるのが、ローカルで動くツールを選んでいる理由でもあります。とはいえAIが読んだ内容がどう扱われるかは、使うプランや設定によって変わります。仕事で扱う情報の線引きは、契約や社内のルールに照らして自分で決めてください。

もう1つ、会計ソフトの置き換えにはならない点も書いておきます。仕訳や確定申告そのものは、私も会計ソフトでやっています。ここで作っているのは、その手前にある書類と台帳の部分です。混同すると痛い目を見ると思います。

料金の考え方

Claude Codeは、月額のサブスクリプションと、使った量に応じて支払うAPIの2通りの使い方があります。事務のように毎日少しずつ使う用途なら、定額のプランのほうが気持ちの上でも使いやすいでしょう。使うたびに残高が減る形だと、「この作業に頼むのはもったいないかな」と迷いが生まれて、結局使わなくなりがちです。

金額そのものは改定されることがあるので、最新の価格は公式の料金ページで確認してください。判断の目安としては、事務に取られている時間を時給に換算して、それより安ければ試す価値があるくらいの考え方で十分だと思います。

よくある質問

Q. プログラミングの経験がなくても使えますか?
私も開発の仕事はしていません。事務の用途で必要なのは、フォルダにファイルを置くことと、日本語で説明することだけでした。黒い画面が苦手なら、エディタの拡張機能やデスクトップアプリから使えば、見た目はふつうのチャットに近くなります。むしろ難しいのは操作ではなく、自分の仕事の手順を言葉にする作業のほうです。

Q. ブラウザで使うAIチャットではだめですか?
単発の相談や文章の下書きなら、チャットで十分です。分かれ目は、同じ作業を毎月繰り返すかどうかにあります。繰り返すなら、材料のファイルを置いておける形のほうが、毎回の説明が消えるぶん楽になります。

Q. 何から作ればいいですか?
台帳を1枚です。案件でも取引先でも、いま把握しきれていない一覧を1行ずつ書くところから始めると、次に何を渡せばいいかが自然に見えてきます。

Q. 事務がどれくらい速くなりますか?
作業ごとに差がありますが、私の場合いちばん変わったのは速さより「探さなくてよくなったこと」でした。時間の数字を目標にすると、続けるのがしんどくなる気がします。

Q. 一人ではなく、チームでも同じやり方が使えますか?
台帳とルールをファイルで持つ考え方は、人数が増えても通用すると思います。ただ共有の方法や権限の扱いは別の検討が必要になるので、まずは自分の手元で回してからのほうが安全でしょう。

まとめ

Claude Codeによる業務効率化は、コードを書く人だけの話ではありませんでした。事務に向いているのは賢いからではなく、手元のファイルを読み書きできるからです。

そして仕組みの中心にあるのは、うまい指示ではなく台帳でした。案件の一覧を1枚作ると、請求書がそこから作れるようになり、契約書も支払いの記録も同じ情報の上に乗ります。1つ整えると隣が楽になる、という広がり方をします。

始めるなら、いま把握しきれていない一覧を1枚だけ書いてみるところからだと思います。全案件を1行ずつ、それだけです。うまく動かなければ、指示の言い回しではなく、渡している材料が足りていないかを見てみてください。

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Ryuichi
Writer / 運営者 Ryuichi

金沢を拠点に、AI活用とこれからの暮らし方を実際に試して記録しています。

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